西川にかかる期待
2016年日本一に輝いた日本ハム。しかし17年は大谷翔平がケガに苦しみ、チームは4年ぶりのBクラスに沈んだ。最下位こそ免れたものの、勝率.420は北海道移転後ワーストだった。
そして迎える2018年。オフに大谷がポスティングでメジャーに移籍し、チームは同時に“投打の柱”を失った。さらに16年の日本一に貢献したベテラン選手たちも次々と抜け、今年は再建元年となる。
投打ともに若手主体のチームとなりそうだが、4月に26歳を迎える西川遥輝が、中田翔と並び、打線の中心を担うことになるだろう。昨季は、安打数と本塁打数で自己ベストを更新。自慢の足もスランプ知らずで、39盗塁を記録。3年ぶり2度目の盗塁王に輝いた。ルーキーの源田壮亮(西武)とは2個差でのタイトル奪取だった。
パの盗塁王は近年混戦模様
パ・リーグの盗塁王争いは近年、混戦模様となっている。2010~11年の本多雄一(ソフトバンク)以降、2年連続盗塁王は生まれていない。西川は、昨季盗塁王に輝いたことで、相手バッテリーからの警戒はより強くなるだろう。
それでも西川が今季のパ・リーグ盗塁王に最も近いところに位置していることは間違いない。西川は現在、4年連続で30盗塁以上をマークしている。過去4年間でシーズン30盗塁以上を記録したことがある選手は、西川を含めセ・パ合わせて10人。4年連続は西川だけ。他に3人(糸井嘉男、柳田悠岐、山田哲人)が過去4年間で2度の30盗塁を記録しているが、それ以外の6人は1度だけである。
また、西川はその盗塁数もさることながら、盗塁成功率は驚異的な高さを誇る。ここ数年のパ・リーグ盗塁王の通算成功率をランキング形式で見ると、西川の成功率が群を抜いていいことがわかる。
【2010年以降のパ・リーグ盗塁王8選手の通算盗塁成功率ランキング】
1位 西川遥輝 85.8%
2位 中島卓也 80.3%
3位 陽岱鋼 78.9%
4位 糸井嘉男 77.6%
5位 聖澤諒 77.5%
6位 片岡治大 77.3%
7位 本多雄一 76.1%
8位 金子侑司 73.5%
8人を並べてみると、2位中島から7位本多まで4.2ポイント以内に6人が並んでいる。しかし西川は、2位中島よりも5.5ポイントも高い。西川の盗塁を成功させる“能力”は、近年のパ・リーグにおいて頭一つ抜きんでていると言っていいだろう。
西川が、この成功率を武器に盗塁企図数を増やせば、自己最多の43盗塁超えも十分達成可能だろう。大谷が抜け、ファイターズ打線の得点力向上には、西川の“足”がより重要なものとなる。
文=八木遊(やぎ・ゆう)