コラム 2018.02.19. 11:00

現役最強の“春男”は誰だ!?

無断転載禁止
広島時代のエルドレッド

ロケットスタートに欠かせない存在


 待望の球春到来からあっという間に時が過ぎ、次の土曜日にはオープン戦が開幕するというプロ野球。シーズンの開幕も着実に迫ってきている。

 開幕スタメンの座を目指す戦いも、これからが本番。長丁場のシーズンと言えど、どのチームも出だしでつまずくのは避けたいところ。そんな時、首脳陣を助けるのが“春男”の存在だ。

 開幕直後から打撃面でチームを引っ張る男が現れると、チームにとっても、そしてファンにとっても心強い。そこで今回は過去3シーズンをふり返り、現役最強の“春男”を調べてみた。


パ・リーグは順当?


 対象としたのは、過去3シーズン(2015~2017年)の3~4月の打撃成績。打数が少な過ぎると1年のみの活躍で浮上する選手も出てくるため、ここでは150打数以上を条件として調べてみた。まずは、パ・リーグのトップ3から見てみたい

【第3位】
藤田一也(楽天)
率.325(175-57) 本1 点21 盗3

 第3位に入ったのは楽天の藤田一也。華麗な守備が印象深い選手だけにやや意外だが、毎年春には強いタイプだ。なかでも2015年は開幕戦こそ9番打者としてスタメンに名を連ねたが、打撃好調だったことでクリーンアップを担うこともあった。

 翌2016年は骨折で戦線を離脱するも、その時点での打率は.344(32-11)というハイアベレージを記録。昨季はやや低調だったが、今シーズンは巻き返せるか注目したい。

【第2位】
内川聖一(ソフトバンク)
率.327(297-97) 本11 点58 盗2

 通算2000安打が目前に迫っている内川聖一が第2位。打率の高さもさることながら、特筆すべきは打点の多さだ。この3年間、開幕から4番に座ってタイムリーを量産。この安定感と勝負強さはさすがといえる。

 ちなみに、2000本安打まで残り25本に迫っている内川だが、過去3年の3~4月間の安打はいずれも30本以上。記念すべき瞬間に立ち会うには、4月後半のチケットを用意しておきたい。

【第1位】
秋山翔吾(西武)
率.332(307-102) 本8 点30 盗9

 昨季の首位打者、秋山翔吾が貫録の第1位。シーズン安打の新記録を作った2015年は4月末までに40本もの安打を放つと、63試合目にはシーズン100安打に到達と史上3位のスピード記録を樹立した。この年に急成長を遂げて以来、安打を量産するようになり、毎年3~4月には30本以上の安打をコンスタントに放つようになった。

 安打ばかりが注目される秋山だが、昨季は4月末までに5本塁打を放ったように、年々長打力も増してきている。昨季はキャリアハイの25本塁打を放ったので、今季も例年以上のスタートダッシュを決めることができれば、3割・30本の大台も現実味を帯びてくる。


セ・リーグは大砲が首位打者をしのぐ


 続いてセ・リーグのトップ3をチェック。パ・リーグは比較的妥当なメンバーが揃ったが、セ・リーグではどうだろうか。

【第3位】
大島洋平(中日)
率.316(358-113) 本3 点23 盗10

 第3位に入ったのは大島洋平。この3シーズンで打率3割以上は昨季のみとやや苦しんでいる印象もあるが、例年春先はよく打つ傾向がある。特に昨季は開幕から好調で、3~4月の安打数は42本をマーク。チームが開幕から低迷するなかでただひとり、気を吐いていた。

 毎年コンスタントに20盗塁以上を記録するリードオフマンだが、昨季は春先から積極的に仕掛けていた。今季もスタートダッシュ次第では2012年以来となる、盗塁王の獲得もありそうだ。


【第2位】
川端慎吾(ヤクルト)
率.325(237-77) 本1 点14 盗0

 昨季は椎間板ヘルニアの影響で全休となったためにイメージがないかもしれないが、川端慎吾も春先は得意なタイプ。開幕スタメンに名を連ねた2015~2016年はいずれも4月末までの打率が.310以上とよく打っており、2015年は3番、翌2016年は2番と異なる役割ながら結果を残した。

 完全復活が待たれる今季は復帰した青木宣親と山田哲人の間となる2番を務めると見られ、体調が万全であれば、また2年前の調子を取り戻すようなら、ヤクルト打線の破壊力は大幅に向上しそうだ。


【第1位】
ブラッド・エルドレッド(広島)
率.344(180-62) 本13 点34 盗1

 コンスタントに高打率を残す選手たちが名を連ねてきた中で、セ・リーグの第1位に輝いたのは広島の主砲・エルドレッドだった。集計期間内の打率.344は、パ・トップの秋山翔吾ですら大きく引き離す圧倒的な数字である。

 右ひざ半月板の手術の影響で2015年は開幕に間に合わなかったが、翌2016年は開幕から「5番・左翼」の座に就くと打率.358、9本塁打、18打点、OPS1.103と絶好調。昨季も打率.324という好成績を残してチームの開幕ダッシュに大きく貢献している。

 調べてみると、意外な名前が登場したプロ野球界の春男たち。2018年のペナントレースで最初に大暴れするのは果たしてどの選手だろうか。


文=福嶌弘(ふくしま・ひろし)


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