実戦5試合で打率.727・3本塁打・9打点
阪神期待の助っ人大砲・ロサリオがまた打った。2月21日、韓国・KIAとの練習試合に「4番・指名打者」でスタメン出場すると、いきなり見せ場が回ってきた。
初回、一死一・二塁の場面で左中間を破る二塁打。先制点をたたき出すと、この日は3回にも中前適時打を放って3打数2安打3打点の活躍。おまけに適時二塁打を打って二塁走者となった初回には三盗まで決めるというハッスルぶり。開幕前にケガをしないかとひやひやしたファンもいるだろうが、韓国プロ野球に所属していた昨季は2ケタの10盗塁を記録しており、本人は足にも自信を持っているようだ。
昨季こそリーグ3位の70盗塁を記録した阪神だが、長く慢性的な機動力不足を指摘されてきたチーム。スペイン語で「闘牛」を意味する“トロ”というニックネームを持つ助っ人が、足でもチームを鼓舞する。
期待されるバットの方はというと、自身が出場した紅白戦2試合と練習試合3試合、計5試合の今キャンプ実戦通算成績は11打数の8安打、打率.727で3本塁打・9打点、1四球に2三振と、絶好調というほかない数字だ。
凡退自体が少ないために現時点で判断するのは難しいかもしれないが、長距離打者でありながら三振が少ないのも評価ポイントだろう。ノーヒットに終わった試合がないという安定感も発揮しており、不動の4番打者として期待は高まるばかりである。
13年ぶりVに求められる“打線の核”
昨季、独走Vを許した広島と優勝争いを演じるには、藤浪晋太郎の復活のほか、広い甲子園をものともせず長打を放てる4番打者を据えられるかということも求められる条件のひとつになる。
ゴメスが退団したことで、昨季の阪神の4番は福留孝介でスタート。夏場からはシーズン途中で獲得したロジャースを4番に据えるも定着できず、シーズン終盤には経験を積ませるためもあってか、福留に加えて中谷将大や大山悠輔といった若手も起用した。
しかし、間もなく41歳になる福留は、昨季から“積極的休養”を挟みながらの起用となっており、中谷と大山には不動の4番にできるほどの力や経験、存在感もまだ不足しているだろう。
そもそも、中谷や大山の場合、若手を積極起用する“群雄割拠”状態のチームにあって、まずはシーズンを通してスタメンを張れるレギュラーの座をつかむことが最優先だ。そうなると、打線の軸を固めるためには、ロサリオには“当たり助っ人”であってもらわなければならない。
これまでも開幕前に好調だった助っ人に何度も裏切られてきた疑り深い虎党が数多くいるだろう。そんなファンであっても、大きな期待を寄せてしまうほどの好調ぶりを披露しているロサリオ。
今度こそ本物だろうか…?13年ぶりのリーグVを狙う阪神の浮沈がかかっている。
文=清家茂樹(せいけ・しげき)