村田修一の去就が決まらない本当の理由…?
オープン戦が各地ではじまり、プロ野球の開幕も徐々に迫ってきた。
ほとんどのチームが戦力補強を終え、各選手たちはペナントレースに向けて調整を続けているが、その一方で自由契約となったまま去就が決まっていない者もいる。その筆頭格と言えるのが、昨オフに巨人から戦力外通告を受けた村田修一だろう。
35歳で迎えた昨季は規定打席到達こそ逃したものの、打率.262で14本塁打、58打点という成績。さすがに全盛期ほどではないにしても、戦力外通告を受けるほどの成績ではない。鹿取義隆GMの「若返りのために苦渋の決断をした」という発言のとおり、若手起用に向けての足かせになることを理由に追われた形だが、村田の実績を持ってすれば、すぐに移籍先は決まるかと思われた。
ところが、村田に声をかける球団は現在のところない。長打が望める右打者は球界全体でも不足気味なので、レギュラーとは言わずとも代打の切り札としても需要はあるはずだが、どういうわけか村田を獲るチームは現時点で現れていない。
その理由のひとつとして、『球界全体の若返り』がある。セ・リーグ2連覇中の広島や、日本シリーズで王者ソフトバンクに善戦したDeNAのように、20代半ばの選手を主軸にしたチームが好成績を残している姿を見て、各球団ともベテランを重用するのではなく、若手起用にシフトしようという動きが見られる。そのためか、今オフは村田のみならず久保康友(元DeNA)や梵英心(元広島)らの選手も未だに移籍先が決まっていない。
20代の選手たちが主軸を担うパ・リーグ
“若返り説”を検証すべく、ここでは昨季の開幕スタメンと5年前・2012年の開幕スタメンを比較。いずれの年も開幕当時の選手の年齢をもとに平均年齢を割り出し、若返りが実際に進んでいるのかを確かめてみた。
まずはパ・リーグ6球団から見てみたい。
【開幕スタメン平均年齢】
▼ ソフトバンク
・2012年=33.7歳
・2017年=30.2歳
▼ 西武
・2012年=28.0歳
・2017年=28.1歳
▼ 楽天
・2012年=29.4歳
・2017年=29.5歳
▼ オリックス
・2012年=26.8歳
・2017年=28.8歳
▼ 日本ハム
・2012年=30.1歳
・2017年=26.6歳
▼ ロッテ
・2012年=30.0歳
・2017年=27.8歳
若返ったチームとそうでないチームがちょうど半々に別れているが、西武と楽天に関しては0.1歳差なのでほぼ変動なしとも取れる。なお、オリックスは2012年に当時19歳の後藤駿太をスタメンに抜擢していたこともあって、それが平均年齢を引き下げている。
その他の点で特筆したいのは、35歳以上の選手が極端に少なったことだ。例として2012年は松中信彦(当時38歳)、小久保裕紀(当時40歳)がクリーンアップを務めたソフトバンクを含めてリーグに10人いたが、2017年は4人に激減。FAやポスティング移籍が活発な印象の強い日本ハムの昨季の開幕スタメンは、投手を含めた10人中8人が20代という若さだった。
平均年齢がもっとも高かったのは…
続いて、セ・リーグ6球団を見てみよう。
【開幕スタメン平均年齢】
▼ 広島
2012年=28.3歳
2017年=30.0歳
▼ 阪神
2012年=31.7歳
2017年=29.9歳
▼ DeNA
2012年=28.8歳
2017年=27.6歳
▼ 巨人
2012年=30.2歳
2017年=28.9歳
▼ 中日
2012年=33.6歳
2017年=29.0歳
▼ ヤクルト
2012年=29.6歳
2017年=30.2歳
金本知憲(当時43歳)や新井貴浩(当時35歳)がスタメンを張っていた阪神や、スタメンに35歳以上の選手が4人もいた中日など、2012年はセ・リーグもベテランの起用が目立っていた。
そんなこともあってか、2017年の開幕スタメンを見ると、平均年齢が下がったチームがほとんど。平均年齢が上がっている広島ですら、昨季のMVP選手丸佳浩らをはじめ、開幕スタメンの9人中5人は20代。昨年で40歳になった新井、37歳のベテラン石原慶幸が引き上げている部分が大きい。
5年前と比べると開幕スタメンの平均年齢が下がっている、20代の選手が半数を占めているというチームがほとんどというなか、唯一の例外となったのがヤクルトである。2012年は9人中5人が20代選手で占めていたが、昨季は3名と楽天に並んで最少だった。ここに36歳になった青木宣親がメジャーから復帰するなど、今季は昨季よりも平均年齢が上がる可能性もある。
調べてみると、各チームとも以前より若返りを意識していることが伺える。ベテラン選手には厳しい情勢だが、果たして村田らを獲得するチームは現れるのだろうか。
文=福嶌弘(ふくしま・ひろし)