コラム 2018.03.21. 11:00

9年目の新境地… DeNA・国吉は中継ぎで輝く

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勝利の方程式が期待される国吉 [写真=萩原孝弘]

暗黒時代の希望の星


 いわゆる“暗黒時代”真っ只中の2011年。希望の光を探すのも難しい状況の中で、ファンは国吉佑樹に心の拠り所を求めていた。

 2008年から2012年にかけて5年連続の最下位。その間は投手陣も散々な成績で、2桁勝利を挙げた投手は三浦大輔と清水直行が1度ずつ。逆に2桁敗戦を数えたら両手でも足りないほどだった。

 そんな中、国吉は2009年の育成ドラフトで1位指名を受け、熊本の秀岳館高校から横浜ベイスターズに入団。196センチの長身から繰り出される150キロ超の剛速球とその端正な顔立ちも相まって注目を集めると、夏場に支配下登録され、ローテーションに入り初勝利を手にする。翌年も完封勝利をあげるなど、着実にエースへの階段を上っているように見えた。


故障と自信喪失


 しかし4年目に腰と肩を痛めてしまう。まだ成長が止まっていなかったことも原因らしい。その後、故障は癒えたが、コントロールという課題をクリアできずにいた。

 一時期ヒジが下がっていたのは、故障が原因ではなく、コントロールをつけるためのフォーム変更であり、彼の中では試行錯誤が続けられていた。

 良い時もあるが長続きはしない。本当の意味での自信がつかないまま、一軍のピッチャーが足りないこともあり昇格する。もちろん断ることなどできず、一軍戦で登板。そのような状況で結果を残せるほど甘い世界ではなかった。結果、再び二軍へ。負の連鎖が続いていた。

 一昨年は思い切って先発を直訴。負のスパイラルを断ち切りたかったが、結果は出なかった。去年は再び中継ぎに戻り、良いピッチングを見せる時もあった。しかし、本人に手応えはなく、あくまで「結果オーライ」だっただけ。自信は喪失されたままだった。


大家コーチとの出会い


 キッカケは球団OBでもある大家友和氏が二軍の投手コーチに就任したこと。秋季キャンプであるアドバイスをもらう。

「動く球をマスターしろ」

 メジャー経験者らしい助言だった。オフシーズンはカットボールとツーシーム、2種類のボールを自分のものにするために、必死に取り組んだ。

 そして2月のキャンプイン。ブルペンで手応えを感じ始める。初めて打者を立たせた実戦形式練習では、左バッターが戸惑いを見せる。キャッチャーは真ん中にミットを構え、微妙にボールを動かす。すると打者は反応が遅れ、見逃しのストライクがとれるようになった。

 見逃せばストライク、打ちに来ても芯を外れる。その結果、“ストライクを簡単に取れる”という余裕が、思い切り腕を振って投げることにつながる。長年の「負の連鎖」が「好循環」に変っていった。


勝負の年


「とりあえず一軍に残る」
「3月のこの時期に首脳陣に査定を受けられることがうれしい」
「どんな場面でも投げる」

 本人から発せられる言葉は控えめなものばかりだ。さらに「先発するには球種が少ない」、「クローザーには迫力が足りない」との自己分析もいたって冷静だ。

 それは「手の届く目標」が明確になったからこその言葉かもしれない。たとえランナーを出しても、一人ひとり抑えればいい。たとえ失点しても最少点で切り抜ければいい。防御率0.00のピッチャーなどいないのだから――。

 考え方が安定し「心のコントロール」も身についた。


勝利の方程式入りへ


 DeNAは若いプレイヤーの多いチームだが、大学・社会人出身の即戦力が多く、国吉もまだ26歳だ。実は筒香と同期入団の同い年。まだまだ成長が期待できる。

 このところの試合でも、140キロ台中盤のカットボールとツーシームという新しい武器を中心にピッチングを組み立て、うまくカウントを整えられている。ストレートは150キロ超で、威力も去年より増しているようだ。

「TBS時代を知る男」
「暗黒時代の星」
「育成のロマン枠」
「ハマのダルビッシュ」

 パワーワード満載の国吉の復活を望んでいるファンは多い。

 昨年の契約更改の際、「日本シリーズを子どもと見た。一緒にテレビを見るのではなく、テレビに映る父親になりたい」と語っていた。その子も3歳となり、テレビで投げてい
るパパを認識できるようになった。今年はお立ち台の上でヒーローインタビューを受ける姿をみせてあげたい。

 当面はロングリリーフや敗戦処理もこなす、便利屋的な扱いになるかもしれないが、与えられたポジションを確実にこなしていけば、きっと信頼を得られずはず。

 ターゲットはズバリ、”勝利の方程式”入りだ。 


文=萩原孝弘(はぎわら・たかひろ)
※初出の際、国吉選手入団時の球団名に誤りがございました。訂正してお詫び申し上げます。失礼いたしました。

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