「開幕ダッシュ」の重要性
3月30日、野球界に春が訪れた。プロ野球2018年シーズンの開幕。今年もリーグ優勝、そして日本一をかけた熱い戦いの幕が開ける。
長いシーズンと言えど、やはり出だしは肝心。どのチームも勝って安心したいというのは同じで、毎年注目を集めるのが「開幕ダッシュ」というフレーズだ。
過去10年の日本一チームを見ても、10チーム中7チームは4月を終えた段階で勝ち越していたというデータがあるように、派手なスタートとはいかなくとも、出遅れは避けたいところ。今回は開幕10戦目までに絞り、リーグ優勝したチームがその時点でどんなスタートを切っていたのかに注目。「開幕ダッシュ」がシーズンに繋がるのかどうかを検証してみた。
パの優勝チームはスロースタート?
対象としたのは過去10年のセ・パ両リーグ優勝チーム。まずはパ・リーグから見てみよう。
【開幕10試合目までの成績】
▼ 2008年
優勝:西武=4勝6敗
▼ 2009年
優勝:日本ハム=5勝5敗
▼ 2010年
優勝:ソフトバンク=4勝6敗
▼ 2011年
優勝:ソフトバンク=6勝3敗1分
▼ 2012年
優勝:日本ハム=6勝4敗
▼ 2013年
優勝:楽天=6勝4敗
▼ 2014年
優勝:ソフトバンク=6勝4敗
▼ 2015年
優勝:ソフトバンク=5勝4敗1分
▼ 2016年
優勝:日本ハム=4勝6敗
▼ 2017年
優勝:ソフトバンク=6勝4敗
開幕10試合を終えて勝ち越していたのは10チーム中の7チーム。ただし、そのうち5チームは勝ち越し1つか2つに留まっており、順位も2位~3位くらいがほとんど。スタートダッシュ感はあまりない。
また、特筆したいのが開幕戦の成績。まずは白星発進といきたい初戦であるが、開幕戦に勝ったのは4チームのみと半分にも満たなかった。つまずいているチームはなかったものの、まずは出たなりの勝負で良さそうだ。
セは先行逃げ切りが多め
続いてはセ・リーグ。
【開幕10試合目までの成績】
▼ 2008年
優勝:巨人=2勝7敗1分
▼ 2009年
優勝:巨人=6勝2敗2分
▼ 2010年
優勝:中日=7勝3敗
▼ 2011年
優勝:中日=3勝6敗1分
▼ 2012年
優勝:巨人=2勝8敗1分
▼ 2013年
優勝:巨人=7勝1敗2分
▼ 2014年
優勝:巨人=7勝3敗
▼ 2015年
優勝:ヤクルト=5勝5敗
▼ 2016年
優勝:広島=6勝4敗
▼ 2017年
優勝:広島=8勝1敗1分
こちらは10チーム中6チームが勝ち越しとなったものの、そのうち貯金3以上を記録したのが5チーム。派手なスタートから勝ちきるパターンがパ・リーグよりも多いのが特徴だ。
ところが、パ・リーグと同様の傾向が現れているのが開幕戦。白星スタートを切ったのは2013年と2014年の巨人だけで、2013年はリーグ優勝も日本シリーズでは楽天に敗れ、2014年はCSで阪神に敗れている。
このように「開幕ダッシュ」という観点でいくと、セ・リーグの方がその重要性は高く、パ・リーグはさほど優勝という結果には繋がっていない印象だ。
さらに、「開幕ダッシュ」には欠かせない要素と思われた開幕戦の勝敗が両リーグとも問題にならず、むしろ過去10年だけで見れば負けたほうが良いようにすら思える結果に。
ファンにとっては待ちに待ったシーズン開幕だけに、その“出だし”にはどうしても注目が集まるが、あまり一喜一憂する必要はないのかもしれない。
文=福嶌弘(ふくしま・ひろし)