コラム

オリックス・宗佑磨の成長を促した逆境と盟友の存在

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オリックスの宗佑磨

どら増田のオリ熱魂~第29回・宗佑磨


 高卒4年目の宗佑磨が春季キャンプ最終クールから一軍に合流し、オープン戦で13試合に出場。打率.306(49-15)、4本塁打、5打点。出塁率,370、長打率.592、OPS.962という好成績を収め、開幕スタメンの座を射止めた。

 春季キャンプ第4クールの初日。一軍と二軍による紅白戦に二軍のメンバーとして出場した宗だったが、山本由伸が投げたインコースの球が背中を直撃してしまう。試合後、宗の下を訪れると、珍しくナーバスになっていた。これには痛み以外にも理由がある。

 入団してから怪我に悩まされてきた宗は、昨シーズン終盤にようやく一軍でプロ初安打を記録。同じく終盤に昇格した2年後輩の岡崎大輔と共にオリックス近未来の二遊間としてファンに希望を抱かせた。

 しかし、秋季キャンプで今度は肩を脱臼するアクシデントで帰阪。楽しみにしていた台湾でのウィンターリーグも不参加となった。外出も禁じられたリハビリ生活。「また怪我か…」と落胆したのは言うまでもない。

 それでも終盤に一軍の空気を吸えたことは収穫だったようで、「いまは焦らずに来年に備えます」と前向きな言葉を発すると、宗の体はひと回り、いやふた回りも大きくなっていった。


仲間の存在が刺激に


 そして迎えた春季キャンプ。ここでも宗のやる気を促す出来事が起こる。入団してから行動をともにすることが多かった同級生であり親友でもある鈴木優が、一軍スタートになったのだ。

「確かにそれも大きかったです」

 宗は一軍で頑張っていた鈴木の存在が刺激になったことを認めている。その話を立場が入れ替わった鈴木にぶつけると、「今は逆に宗の存在が刺激になっています。次に宗と一緒にプレーする時は一軍で」と闘志を燃やしていた。

 宗は、開幕一軍の座を手にしたことについて「いろんなものが重なったんだと思います」と話していたが、昨年の秋に野球をやりたくてもできない期間を過ごしたことで、まずは「試合に出なければ始まらない」と思えたことが大きかった。

 内野から外野へのコンバート。高校1年以来となる外野の守備は、実質はじめてと言ってもいい経験だったが、センターというポジションを守るにあたって「足が速くて良かった」と語るなど、すべてを前向きにとらえることができていた。

 その守備に関しては“粗”もみられたが、3月4日のDeNA戦で見せた先頭打者ランニングホームランなどは、かつての糸井嘉男のように“打って走ってホームに帰ってくる”という、福良監督が理想的とする1番バッターの可能性を感じさせた。


オープン戦はオープン戦


「今はオープン戦。僕は公式戦のことしか考えていません」

 3月15日、ZOZOマリンでのロッテ戦で第4号ホームランを放ち、オリックスの新リードオフマン候補として注目を集めていた宗は、たくさんのTVカメラや報道陣に囲まれる中で、「公式戦で結果を残さなきゃ意味がない」と、自らに言い聞かせるよう何度も繰り返した。

 この会見の中で、かつてメジャー屈指のオールラウンドプレーヤーとして名を馳せたケン・グリフィー・ジュニアへの憧れも口にしていたが、その存在に少しでも近づくには、より多くの経験を積んでいく必要がある。まずは、その一歩を踏み出すためのスタートラインに立つことはできた。

 ここから先は初めてのことばかり、様々な壁にぶつかることもあるだろう。調子を落としたときに首脳陣が我慢強く起用し続けられるかという部分もあるが、伸びしろは十分。オープン戦での活躍で注目の的となったが、宗の潜在能力は「こんなものじゃない」はずだ。


取材・文=どら増田
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