機動力野球
昨季限りでユニフォームを脱いだロッテの井口資仁監督。引退後、即監督に就任して迎えた2018年。チームはここまで5勝4敗の2位タイと好スタートを切っている。
オープン戦では8勝4敗2分で巨人に次ぐ勝率をマークしたが、半信半疑のファンが多かっただろう。なぜなら、2017年のオープン戦は13勝2敗3分という好成績をマークしながら、公式戦に入ると低迷。5月下旬までチーム打率が2割に満たない低空飛行が続いた。
最後まで投打がかみ合わなかった昨季は6年ぶりの最下位に終わり、今季も開幕前の評価は高くなかった。しかし、開幕から9試合を終え、チーム打率は西武に次ぐ.271をマーク。また、盗塁数は12球団トップの11個をマークするなど、井口新監督が就任時に掲げた「機動力を使った攻撃的な野球」を実践している。盗塁失敗は5回と多いが、積極走塁の裏返しだろう。
一方で犠打の数もパ・リーグでは最多の10個決めており、“井口野球”の一端を見せている。新指揮官は多彩な攻撃を見せる半面、野手の起用に関しては我慢強さも見せている。ここまでの9試合は1番から6番の上位打線は12球団で唯一の不動。打線は水物というが、今後打線が湿りがちになった時にどういう采配を見せてくれるのか、要注目だ。
固い守備力
投手に目を向けると、防御率はパ・リーグ4位の3.90。注目は12球団で断トツの13ホールドを挙げているリリーフ陣だ。井口監督の継投に関しては手探り状態な印象もあるが、クローザーが固定されれば、リリーフ陣はチームの強みの一つとなり得る。勝利の方程式をいち早く築きたいところだろう。
そして、昨季からいい意味で最も変わったのが守備ではないだろうか。12球団最悪の86失策を記録した昨季から一転、今季の失策数はここまで両リーグ最少の1個だけだ。今のところ、鈴木大地のサードへのコンバートなどが功を奏していると言っていいだろう。
貯金が1つあるとはいえ、まだ9試合を終えたところ。今週は、火曜日からいまだ負けなしの西武と3連戦、そして週末には昨季日本一のソフトバンクとの3連戦が控えている。この6連戦で勝ち越すようなことがあれば、今季のロッテはパ・リーグの台風の目となりそうだ。井口監督の手腕にも注目だ。
文=八木遊(やぎ・ゆう)