いぶし銀のはたらきに期待
楽天に帰ってきた渡辺直人が持ち前の粘りを発揮した。
4月8日に行われたソフトバンク戦の9回。2点を追う楽天打線は相手守護神・サファテを攻めて無死一・三塁の好機をつくると、渡辺が代打で登場。9球目の148キロ内角直球をおっつけて一二塁間を抜く技ありの適時打を放ち、1点差に迫った。最終的に試合には敗れたものの、8年ぶりに楽天のユニフォームに袖を通した渡辺は、まさにいぶし銀という勝負強さで健在ぶりを示した。
渡辺は1980年10月15日生まれ。いわゆる“松坂世代”のひとりだ。年々、数を減らしつつある松坂世代の現在地を見てみたい。下記は現役松坂世代の一覧。今季、一軍での出場を果たした選手はここまでの個人成績も記す。
【現役の松坂世代】
・永川勝浩(広島)
・藤川球児(阪神) 4試(4回)1勝0敗 防6.75 奪三振4 与四死4
・G後藤武敏(DeNA)
・杉内俊哉(巨人)
・松坂大輔(中日) 1試(5回)0勝1敗 防3.60 奪三振5 与四死3
・工藤隆人(中日) 4試 率---(0-0) 本0 点0 盗塁1
・館山昌平(ヤクルト) 1試(6回)0勝1敗 防4.50 奪三振2 与四死2
・和田 毅(ソフトバンク)
・久保裕也(楽天)
・渡辺直人(楽天) 7試 率.500(4-2) 本0 点1
・小谷野栄一(オリックス) 10試 率.231(26-6) 本0 点3
・矢野謙次(日本ハム) 4試 率.000(3-0) 本0 点0
・実松一成(日本ハム)
※成績は4月10日終了時点
松坂と館山がそろって先発登板
セ・パ両リーグで計13人。一般的に選手生命は投手のほうが長いと言われるが、パ・リーグでは渡辺をはじめ野手のほうが多く、投手7人、野手6人という内訳だ。
このほかにも、BCリーグ・栃木からNPB復帰を目指す村田修一(元巨人)や去就がまだはっきりしていない久保康友(元DeNA)、梵英心(元広島)の3人も現役と言えるだろう。
4月5日には、松坂大輔(中日)と館山昌平(ヤクルト)がそろって先発登板を果たした。ともに敗戦投手となったが、松坂は5回3失点(自責2)、館山は6回3失点(自責3)とまずまずの成績を残しており、これからの登板にも期待したい。
37歳になって今季を迎えた松坂世代。大台の不惑も目前だ。彼らを長く見続けてきた野球ファンにとっては、ひいき球団を超えて応援したくなる選手たちだろう。
さすがに全盛期のような働きを期待するのは現実的ではないかもしれないが、渡辺のようなきらりと光るベテランらしい活躍を見せてほしいものだ。
文=清家茂樹(せいけ・しげき)