近藤健介の持ち腐れ…!?
日本ハムの安打製造機・近藤健介が昨季に続いて好調だ。
4月12日のソフトバンク戦ではチームは4安打零封で敗戦したが、近藤は6回に相手先発・石川柊太の変化球を右手1本ですくい上げるような技ありの打撃で右翼フェンス直撃の二塁打をマーク。これで開幕から12試合中11試合で安打を記録し、全試合連続出塁を続けている。
ここで、開幕から12試合での近藤の主な個人成績、併せてリーグ順位を記しておく。
【近藤健介・個人成績】※4月13日終了時点
・打率.432(1位)
・19安打(1位)
・11四球(1位)
・出塁率.545(1位)
・0本塁打(−)
・長打率.591(2位)
・5打点(17位)
・5得点(15位)
※()はリーグ内順位
ヒットを量産するだけでなく、しっかり四球を選べるのも近藤の大きな強み。ここまでに記録した19安打・11四球はともにリーグトップだ。出塁率.545はリーグ2位の外崎修汰(西武/.500)を大きく引き離す断トツの数字である。
にもかかわらず、近藤の5打点はリーグ17位タイ。5得点は同15位タイという数字にとどまっている。日本ハムファンにとってはありがたくない“春の珍事”と言ってもいい。
近藤の前後を担う打者がそろって低空飛行
出場12試合のうち、10試合で3番に入っている近藤。得点圏打率.400を誇る近藤が19安打を放ち、5割をはるかに超える確率で出塁していながら5打点・5得点にとどまっているのは、1・2番がチャンスメークできておらず、近藤の後の中軸打者が打てていないということを現している。
事実、ここまで1・2番で起用されている西川遥輝は打率.159と苦しみ、不動の4番・中田翔も打率.192。ともに2割を切る低空飛行を続けている。中田の得点圏打数23はリーグトップでありながら、得点圏安打はわずかに2。得点圏打率は.087という厳しい数字だ。近藤を生かし切れておらず、まさに宝の持ち腐れとしか言いようがない。
とはいえ、打線全体が湿っているいま、西川に代わるトップバッターや中田に代わる4番がいるかといえばそれも難しいところ。チームの規定打席到達者のなかで近藤に次ぐ打率.273を残しており、得点圏打率も.300のアルシアを4番で試すという選択肢もあったが、そのアルシアは4月10日のソフトバンク戦で死球を受けて負傷交代してしまった。
果たして、近藤の“春の珍事”はいつまで続くのか。前後の打者の復調なくして、上位進出はない。
文=清家茂樹(せいけ・しげき)