コラム

メジャーの投手たちが導き出した「フライボール革命」への対抗策とは…

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ジャッジとスタントン。昨年は2人で計111本塁打をマーク。

新トレンド「フライボール革命」


 昨シーズン、歴代最多となる年間6105本もの本塁打が飛び出したメジャーリーグ。それまでの最多が2000年の5693本だったことを考えると、「乱れ飛んだ」と言った方が正しいかもしれない。一部では「飛ぶボールが使われているのでは…」と噂されるほど、際立って“一発”が目立つシーズンだった。

 そんな中で新たなトレンド、流行語となったのが「フライボール革命」という言葉。解析技術が進歩した結果、打者たちは意識的にフライやライナーを打とうとし、それが本塁打の激増に繋がったことは疑いようがない。

 そんな激動の1年を終え、迎えた2018年。開幕からまもなく3週間が経とうとしているが、実は本塁打は昨年に比べてかなり減っている。現時点で年間5166本塁打(歴代9位)ペース。昨季よりも900本以上も少なくなる計算だ。例年春先は本塁打が出にくい球場も多く、暖かくなるにつれて本塁打が増加してくる可能性も高いが、昨年を上回るのは難しそうだ。


投手たちの“対抗策”


 要因をひとつに絞ることは困難だが、やはり各投手たちが“対抗策”に打って出ていることが大きい。

 フライやライナーを狙う打者心理を利用して、投手たちは「より際どいコース(=ボールゾーン)」で勝負する場面が増えた。データを見ても、今季の与四球率(=9イニングあたりの与四球数)は昨年の3.29から3.52に悪化。微妙な変化ではあるが、この数字は過去20年で最も悪い。

 また、ストライクゾーンへの投球率も45.0%から43.6%に微減している。さかのぼること2002年にはストライクゾーン投球率が54.2%にも上っていた。16年前の投手たちが100球中54球はストライクゾーンに投じていたのに対し、今年はこれが43球まで減っているということである。

 与四球が増えれば投手にとって苦しい場面も増えることは容易に想像がつくが、ボールゾーンでの勝負が増えた結果、被本塁打は一気に激減し、何より重要な失点を減らすことにも成功した。

 1試合の平均得点は4.65から4.36に低下。打率も.255から.236まで落ち込んでいる。長打狙いの打者がボールゾーンに手を出すことが増え、三振も増加。年間の三振数は歴代最多だった昨年の4万0104個を大きく上回る4万3148個ペースである。

 一方、投手側の弊害としては暴投も増加傾向にあることが挙げられる。こちらも昨年が歴代最多で年間1810個の暴投が記録されたが、今年はこれを大きく上回る1975個ペース。バッテリーが慎重を期し、変化球をより低めに集めていることが推測できる。

 まだ開幕から1カ月も経っていないため、ここで紹介した数字が今後大きく変わってくることもあるだろう。投手たちが対策に打って出たように、今度は打者たちがさらに対策を練ってくることが考えられる。

 いたちごっこを制するのは打者か、投手か…。この争いから目が離せない。


(※数字はすべて現地時間4月16日終了時点)


文=八木遊(やぎ・ゆう)


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