チームを支える“新”先発陣
開幕から2カードは1勝4敗と躓いたものの、怒涛の8連勝で息を吹き返したベイスターズ。例年春先に弱い打撃陣も、ルーキーの神里やFAで加入した大和の存在もあり、そつのない「スモールベースボール 」を実践。強力クリーンアップによる、豪快な「ビッグベースボール」も健在で、1998年以来遠ざかっているリーグ制覇に向け、まずまずのスタートをきったと言えるだろう。
しかし好調の要因は、打撃陣よりもむしろ投手陣の踏ん張りによるところが大きい。開幕から今永、ウィーランド、濱口の「2017二桁勝利トリオ」が未だに合流できないなか、その穴を埋めてなお余りある活躍を見せているのが、3人の若手先発陣と新外国人だ。
2年目の京山将也はデビュー戦から3連勝。まだ3試合の登板ながら、防御率も1.10で投手部門二冠の活躍を見せている。昨秋のドラフトで1位指名を受けたルーキー東克樹も、デビュー戦から好投を続け、2試合目の巨人戦で嬉しいプロ初勝利を挙げた。勝ち星こそついていないが、3年目の飯塚悟史も防御率は2.16と安定。新戦力のバリオスはすでに2勝を挙げており、防御率も2.76と先発としての役割を果たしている。
先発の役割を果たしきれないエース
好調な先発ローテ陣の中で、いまいちピリッとしないのが石田健大。ベイスターズが誇る左腕カルテットの“長男“であり、2年連続で開幕投手を務めるなど、ラミレス監督からの信頼も厚い。そのエースが苦しんでいる。
今年はここまで3試合に先発し、1勝2敗、防御率3.71という成績。開幕(3月30日)のヤクルト戦は5回5失点(自責2)、4月6日の広島戦は5回4失点(自責3)、4月13日の中日戦は7回5失点(自責2)ながら5回までに5失点しており、苦しい試合展開になっている。チームメイトの失策などもあり、自責点は3試合で「7」ながら、エースとしてはもう一息といったところ。
ピッチングの内容は悪くないように見える。ストレートは140キロ後半を計測し、17イニングで20奪三振。キャンプから取り組んでいる、「ストレートでファールを取る」ことも、「低めに制球する」ことも出来ていると、本人も話している。ただ打たれている。
13日の中日戦は、ファーストストライクを狙い打ちされていたが、打たれながらも勝ち投手になった。7回を投げきったことにも価値はあるし、ちょっとしたキッカケで良化する可能性は大いにあるだろう。
活躍中のローテーション投手は、ラミレス監督の意向もあり、5回を目途にマウンドを降りる事が多い。そのためリリーフ陣の登板数は、15試合を消化した17日現在で、三上が10試合、エスコバーが9試合、井納が8試合、砂田が7試合、パットンが6試合とフル回転している。
長いシーズンを通して救援陣に活躍してもらうためにも、石田には長いイニングを担ってもらいたいところ。エースが本来のピッチングを取り戻した時、20年ぶりのリーグ優勝に向けてチームは更に加速するはずだ。
取材・文=萩原孝弘(はぎわら・たかひろ)