コラム 2018.04.30. 11:00

セ・リーグ史上最高のチーム打率.294を記録した驚異の「1999年、横浜マシンガン打線」【平成死亡遊戯】

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ホームランを放ち一塁走者金城(左)に迎えられるローズ=横浜

あなたにとっての最強打線は!?


 打率ベスト10に6人ランクイン。

 西武ライオンズが圧倒的な攻撃力を武器にパ・リーグ首位を走っている。開幕から23試合を終えて、チーム打率.290、154得点はパ・リーグぶっちぎりトップ。秋山翔吾、源田壮亮、浅村栄斗、現在打撃二冠の山川穂高、森友哉、外崎修汰、栗山巧らが並ぶ2018年型“レオパルドン打線”は、さらに本塁打王経験者の中村剛也やメヒアが控える豪華さだ。

 平成球界では様々な強力打線が存在した。今日も日本のどこかの居酒屋で朝まで、僕らの心のベスト10第1位打線論争が交わされていることだろう。

 松井秀喜、高橋由伸、清原和博、江藤智ら新旧ビッグネームを揃えた2000年巨人の“ミレニアム打線”。小笠原道大、オバンドー、ウィルソン、片岡篤史らを擁した豪快な2000年日本ハムの“ビッグバン打線”。中村紀洋とタフィ・ローズの2人合わせて計101本塁打、263打点と爆発した01年近鉄バファローズの“いてまえ打線”。井口資仁、松中信彦、城島健司、バルデスの100打点カルテットが話題の03年ダイエーの“ダイハード打線”。タフィ・ローズ、小久保裕紀、ペタジーニと各球団の4番が並びチーム本塁打259本の日本記録を樹立した04年巨人の“史上最強打線”…と、それぞれ強烈な印象を残した。

 こうして数々の平成強力打線を振り返ると、90年代末から2000年代前半に集中していることが分かる。当時MLBではマーク・マグワイアとサミー・ソーサの本塁打記録対決が話題となり、とにかく打ちまくるのが球界のひとつのトレンドだったわけだ。

 そして、やはり90年代末の横浜ベイスターズを思い出す野球ファンも多いのではないだろうか? 自由に打たせる権藤博監督のもと石井琢朗、波留敏夫、鈴木尚典、ロバート・ローズ、駒田徳広、佐伯貴弘ら勝負強いクセ者が顔を揃えた“マシンガン打線”。98年はクローザーを務めた大魔神・佐々木主浩が45セーブ、防御率0.64という驚異的な成績を残し、強力打線は勝負どころの7月に月間打率.341を記録。内野手4名と捕手がゴールデン・グラブ賞を受賞する守備力も武器にチーム38年ぶりのリーグ優勝と日本一に輝いた。


期待されていなかった方が活躍した件


 その熱狂の中心にいたのは4番を託されたロバート・ローズだ。25歳で来日した時は助っ人としては小柄の二塁手。見た目もママにシャツを選んでもらってそうな気弱な大学生風でたったの年俸35万ドル。今となっては信じられない話だが、同年に入団したグレン・ブラッグスのおまけなんて揶揄されての日本生活のスタートだった。野球界でよく語られる「期待していなかった方が名助っ人として定着する説」。ローズもこのパターンで初年度から130試合フル出場すると、いきなり94打点で広澤克実(ヤクルト)と並び打点王を獲得。打率.325はリーグ2位で二塁手ベストナインにも輝いた。

 そこからは毎年のように打率3割、20本塁打、95打点前後の好成績を残し続け、結果的に背番号23は90年代のチームを牽引することになる。93年に「横浜大洋ホエールズ」から「横浜ベイスターズ」へとチーム名を変更しているので、いわばローズは“新生ベイスターズの象徴”でもあったわけだ。まるで大洋時代のポンセとパチョレックを合わせたなんでもできるクラッチヒッターと、思わず30代以下には意味不明な例えをしたくなる強打者である。

 日本一翌年の99年シーズンの大爆発は今でも語り草だ。この年、横浜はセ・リーグ史上最高記録のチーム打率.294(投手を除くと.303)をマークするわけだが、ローズは6月8日に「いい時期に自分の判断でやめたい」と引退宣言。助っ人選手がリストラされるのを間近で見てきた経験から、プライドの高い男は退団の時期は自分でコントロールしたいと思ったという。6月30日には広島戦で自身3度目となるサイクルヒット達成。この試合の横浜は1イニング12得点のチーム新記録で、20対4と爆勝している。7月22日のヤクルト戦では10打点の大活躍、オールスター第2戦でも6打点を挙げMVPの大暴れと記録づくめの1年。

 最終的に打率.369、37本、153点、OPS.1.093という凄まじい成績で首位打者と打点王を獲得した。135試合制の当時、192安打は50年の阪神・藤村富美男を抜くセ最多記録、打率.369はロッテ時代の落合博満が持つ367を抜く右打者歴代1位。それらはのちに更新されたが、153打点はいまだに外国人選手の最多打点記録として破られていない。


セ界最高の打線でも…


 そんな助っ人に引っ張られるように99年のベイスターズスタメン全員が打率3割前後をマーク。ローズとベテラン駒田以外は皆20代後半というそれぞれピークを迎える年齢のタイミングが合致したわけだが、チームは連覇を狙うも権藤監督の自由すぎる采配に一部選手が不満を露わに。このオフにメジャー移籍する大魔神を始めとした前年フル回転のブルペン陣にも疲れが見え、12球団ぶっちぎりトップの711得点にも関わらず、リーグ3位に終わったのは野球というスポーツの奥深いところかもしれない。

 なお人気野球ゲーム『実況パワフルプロ野球2000』で、ロバート・ローズは「ミートA(7)パワーA(151)」の球界最強バッターとして君臨している(ちなみに松井秀喜は「ミートC(5)パワーA(182)」、イチローは「ミートA(7)パワーB(136)」だった)。


【1999年横浜 マシンガン打線】 
1番石井琢(遊撃/29歳)率.292 8本 58点 
2番波留 (中堅/29歳)率.298 15本 70点
3番鈴木尚(左翼/27歳)率.328 17本 92点
4番ローズ(二塁/32歳)率.369 37本 153点
5番駒田 (一塁/37歳)率.291 9本 71点
6番佐伯 (右翼/29歳)率.309 10本 53点
7番進藤 (遊撃/29歳)率.286 14本 43点
8番谷繁 (捕手/29歳)率.295 11本 51点

文=中溝康隆(なかみぞ・やすたか)

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