12球団No.1の“勝利打点”6
4月29日の中日-DeNA戦、試合を決めたのはやはりこの男だった。2-2の同点で迎えた延長10回、DeNAの主砲・筒香嘉智が相手守護神・田島慎二の外角スライダーに反応。力みのない鋭いスイングから弾かれたライナー性の打球はあっという間に右中間フェンスを超え、チームを連勝に導く2ランとなった。
前日28日の同カードでも試合を決めたのは筒香だった。同点の8回、満塁の場面で打席に立つと、7回まで1失点と好投していた小笠原慎之介から走者を一掃する決勝3点適時二塁打をマーク。2試合続けてのヒーローとなり、まさに千両役者と呼ぶべき活躍を見せている。
とはいえ、今季の筒香は決して本調子とはいえない。6本塁打はリーグ2位、20打点はリーグ3位と上位ながら、打率はリーグ24位の.241。特に得点圏打率は.217と低く、本来の力を思えばここまで“らしくない”成績となっている。
だが、筒香がここまでに記録しているいわゆる“勝利打点”6は、じつは12球団ナンバーワンの数字である。ちなみに、2位は菊池涼介(広島)、福留孝介(阪神)の4。試合を決めるのが主砲の役割というのなら、筒香は十分にその責務を果たしており、ここぞという場面ではやはり筒香ほど頼れる男はいない。
気温上昇とともに調子が上向く夏男
しかも筒香は、例年、夏場に調子を上げてくるタイプである。昨季はシーズン開幕前に行われたWBCによる疲労の影響があったとも考えられるが、開幕当初は低迷。月間打率を振り返ると、3、4月は.275、5月は.243だった。ところが、6~8月は順に.311、.312、.315と全て3割を超えている。
また、2016年7月には月間打率.429、16本塁打、31打点と、まさに鬼神のような活躍も見せた。急激に気温が上がってきたこの時期に、立て続けにヒーローとなったのはただの偶然ではないだろう。さらに、今夏には第1子が誕生予定であり、筒香は間もなくパパとなる。
夏場に強い筒香がパパとなって心身ともにさらに充実すれば……。ただでさえ勝負を分ける場面で無類の強さを誇る頼れる主砲が真骨頂を発揮するのはこれからだ。
※数字は4月30日終了時点
文=清家茂樹(せいけ・しげき)