コラム

今季は23名…それぞれの思いを胸に独立リーグでプレーする元NPB戦士たち

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今季から栃木でプレーする村田修一 [写真=阿佐智]
 昨シーズンまで巨人の主力を張っていた村田修一が、プロ野球(NPB)復帰を目指してプレーの場を求めたこともあり、注目を集めている独立リーグ。2005年に日本で最初の四国アイランドリーグ(現四国アイランドリーグplus, 以下四国リーグ)が立ち上がった当初は、ドラフトにかからなかった選手の再チャレンジの場として、NPB経験者を受け付けることはなかったが、現在では、元NPB選手にも門戸を開いている。とは言え、報酬の上限が月40万円という独立リーグに華やかな世界に身を置いていた彼らが実を投じるにはそれなりの覚悟も必要だろう。


独立リーグ在籍のNPB経験者は23人


 今シーズン、四国リーグ4球団、ルートインBCリーグ(以下BCリーグ)10球団でプレーを続けるNPB経験者は23人。ちなみに指導者(監督、コーチ)は33人だ。

 もともとNPBへの登竜門として発足したということもあって、基本的に監督はNPB出身者であり、コーチも当初は元NPBで固められていた。

 近年は、セカンドキャリアの観点からだろうか、独立リーグしか経験していないコーチも増えている。また、両リーグの内、BCリーグの方はプレーイングコーチを認めており、こちらには、元ヤクルトの飯原誉士(栃木)をはじめ、5人の選手兼任者がいる。生きた教材としての役割を球団も期待しているのだろう。

 1球団平均では2人に満たない元NPB選手の所属だが、村田や飯原の所属する栃木には、最多の7人が所属する一方、BCリーグの滋賀、石川、四国リーグの高知、香川の4球団には在籍していないなど、球団ごとの元NPB選手採用の姿勢には温度差がある。

 リーグ別に見ても、BCリーグと四国リーグとでは好対照をなしている。BCリーグは8球団に20人の元NPB選手を抱えているのに対し、四国の方は2球団で3人しかいない。

<独立Lでプレーする元NPB戦士>
※カッコ内はNPBで最初に入団した球団
【BCリーグ】
新潟:渡辺貴洋(巨人/11年育成6位)

福島:加藤康介(ロッテ/00年2位)
福島:赤松幸輔(オリックス/15年育成2位)
福島:ボウカー(巨人/12年1月入団)

栃木:飯原誉士(ヤクルト/05年大・社5位)
栃木:八木健史(ソフトバンク/12年育成1位)
栃木:中村恵吾(ソフトバンク/14年育成8位)
栃木:金伏ウーゴ(ヤクルト/11年育成2位)
栃木:坂田将人(ソフトバンク/10年5位)
栃木:村田修一(横浜/02年自由獲得枠)
栃木:金子将太(ソフトバンク/14年育成6位)

群馬:カラバイヨ(オリックス/10年7月入団)

信濃:北方悠誠(横浜/11年1位)
信濃:ポロ(楽天/13年入団1月)

富山:古村徹(横浜/11年8位)
富山:ヒース(広島/14年7月入団)
富山:乾真大(日本ハム/10年3位)

武蔵:片山博規(楽天/05年高1位)

福井:福沢卓宏(中日/99年2位)
福井:塚田貴之(オリックス/15年育成1位)


【四国リーグ】
愛媛:正田樹(日本ハム/99年1位)
愛媛:ペレス(阪神/15年6月入団)

徳島:ジェフン(ヤクルト/16年5月入団)


レベルアップに貢献するベテラン


 彼ら23人を見てみると、かつて一軍で活躍した者、外国人、独立リーグからの出戻り組をはじめとする若手の3つに大別できる。

 一軍経験者には、主力としての役割とリーグ全体のプレーレベルを向上させることが期待されている。若い選手にチャンスを与えるという意味と、年齢的なものもあり、フル出場している選手は多くない。ただし、彼らはプロのプレーをファンにも魅せてくれる。

 前述のように、育成が本来の目的だった独立リーグは、元NPB選手に門戸を開いてなかったが、社会人の実業団以下のプレーレベルしかない状況では、「プロ」を名乗り入場料を取ることは難しくなってきたため、元NPB選手を受け入れた経緯がある。選手側から見ると、まだ体が動くうちはプレーを続けながら、徐々にセカンドキャリアに移行する場として独立リーグを利用できる。

 育成という点でも、一見NPBを目指す若い選手のプレー機会を奪うようにみえるベテランの存在も、自らの目標を実感できる機会を提供していると言えるだろう。 


ある兼任コーチの一言


 昨シーズンのことになるが、あるBCリーグの兼任コーチと話をした。彼はNPBへの復帰がもはや現実的ではないことを自身が悟っていることを自覚した上で、まだ体が動くから独立リーグでプレーしていると語ってくれた。そしてこうも付け加えた。

「NPBを目指すなら、まずは僕を越えないと」

 彼は自らプレーすることで夢を追う若い選手に夢と現実との距離を示していた。兼任コーチの多くは、同じ意識を持って独立リーグでプレーしていることだろう。

 昨年まで主力だった村田は別として、彼らの多くは、NPBへの復帰を念頭に置いてはいないのではないだろうか。たとえば、かつての日本ハムにドラフト1位で入団した正田樹投手(愛媛マンダリンパイレーツ)は、阪神へのトレード、台湾球界、そしてメジャーキャンプ参加からBCリーグの新潟アルビレックスを経て、ヤクルトに復帰と、不死鳥のような野球人生歩んできている。

 ヤクルトを自由契約になってもなお現役を諦めず、独立リーグに戻ってきたが、すでにNPBを離れて4年になる。合同トライアウトも一昨年から受けていないことを考えると、彼の中でのNPBという存在は変化してきているのだろう。それでも、彼の姿、生き様は若い選手の良き見本となっている。


リーグに華を添える助っ人たち


 外国人選手は7人。体が動く限りプロとしてプレーできる場がある限りは、バットとボールを携えて世界中を渡り歩くのが彼らの生き様だ。球団側としても、同じ外国人選手を獲るにしても、日本の事情をある程度理解している彼らの方が、リスクが少ないし、元巨人のジョン・ボウカー(福島ホープス)のようにある程度顔が売れている選手だと、観客動員にも多少のメリットがある。

 それに、彼らにとって、NPB復帰は全くのノーチャンスというわけでもない。2013年には、前年1シーズン限りで西武をリリースされ、石川ミリオンスターズに出戻ったクリス・カーターがシーズン途中に西武に復帰したり、日本の独立リーグでプレーした6シーズンすべてで本塁打王になっているフランシスコ・カラバイヨ(群馬ダイヤモンドペガサス)が、2015年に4シーズンぶりにオリックスに復帰したりと、NPBの方も、独立リーグを外国人選手の「生け簀」のように考えている節がある。

 その時々のチームの需要と選手の調子次第で、独立リーグでプレーする外国人選手を緊急補強することもあるからだ。今年も独立リーグナンバーワン打線の中核を担うカラバイヨの「3度目」はさすがに難しい気もするが、阪神ではなかなかチャンスをもらえなかったネルソン・ペレスなどが急遽NPBに復帰ということもあるかもしれない。


セカンドキャリアを模索する若手


 元NPBと言っても、一時代を築いた選手ばかりではない。独立リーグから夢のNPBへドラフトされながら、一軍で活躍できずにリリースされた選手も、独立リーグに舞い戻っている。

 そもそも、アマチュア時代にドラフトされなかった、独立リーガーがNPBに行けたとしても、活躍できるかは難しところ。本来ならば、NPBを解雇された時点で、彼らは別の道へ進むべきなのかもしれないが、BCリーグの3人、赤松幸輔(元オリックス、福島ホープス)、八木健史、中村恵吾(ともに元ソフトバンク、栃木)は、独立リーグで現役を続けている。

 しかし、これも赤松、八木の2人はコーチ兼任であるし、また、近年では、自分が納得いくまでプレーした後は、球団スタッフになる例も出てきているので、そういう意味では、ベテランと同じく、現役としてプレーしながらセカンドキャリアを模索しているとも言えるだろう。

 「出戻り組」以外にも、2015年の育成ドラフトでオリックスから1位指名され、「山口(巨人)2世」とも呼ばれた塚田貴之(福井ミラクルエレファンツ)らは、独立リーグで課題を修正し、NPBへの復帰を狙っている。


文=阿佐智(あさ・さとし)
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