スタメン出場した2試合はともに本塁打
阪神のドラフト5位ルーキー・谷川昌希にプロの洗礼を浴びせたのは、プロ入り18年目のベテラン・阿部慎之助だった。
5月10日、阪神戦の3回裏。谷川が投じた内角直球を鋭いスイングでとらえると、打球は弾丸ライナーで右翼スタンドにあっという間に着弾。先制3ランとなり、一振りでチームを勝利に導いた。
今季の阿部は岡本和真や吉川尚輝ら若手内野手の台頭もあり、追いやられるようなかたちで基本的には控えに回っている。代打出場ではなかなか結果を残せず、今季の初ヒットは4月29日のヤクルト戦まで待たねばならなかった。
この日は1号本塁打を放った5月6日のDeNA戦に続く今季2度目のスタメン出場。ここまでわずか15試合の出場で22打席にとどまっているが、それでも限られた出場機会で打点10を挙げているのは流石と言えよう。
ダブルのメモリアル達成へ
今季の阿部は「通算400号本塁打」の大台に挑んでいる。阪神戦の決勝3ランがようやく今季の第2号で、ここまで通算390号。残るはあと10本となっている。
これまでの阿部ならば、悠々と到達できた数字であろう。何と言ってもルーキーイヤーの2001年から昨季まで、実に17年連続でシーズン2ケタ本塁打を記録してきた男だ。
ここで、改めてルーキーイヤーからの連続2ケタ本塁打の記録を振り返ってみよう。
【連続2ケタ本塁打年数ランキング】
1位 21年(1986~2006) 清原和博(西武ほか)
2位 20年(1959~1978) 張本 勲(東映ほか)
3位 18年(1969~1996) 山本浩二(広島)
4位 17年(1958~1974) 長嶋茂雄(巨人)
4位 17年(1969~1985) 有藤通世(ロッテ)
4位 17年(2001~2017) 阿部慎之助(巨人)
※ルーキーイヤーからの記録に限る
もし阿部が今季も2ケタ本塁打を達成すれば、1年目から自身をスタメン起用してくれた恩師・長嶋茂雄の記録を上回ることができる。“恩返し”という意味でも、是が非でも達成したいところだろう。
ただし、ここまで34試合を消化して2本塁打というと、シーズン換算で8本ペース。記録継続には微妙なラインとなっている。いかに少ないチャンスをモノにするか、そしてチャンスを増やしていけるか。この2点が大きなカギを握る。
「400号本塁打」の金字塔と、恩師超えとなる「18年連続2ケタ本塁打」のWメモリアルへ…。阿部慎之助の今後に期待したい。
文=清家茂樹(せいけ・しげき)