金本・阪神では初の巨人3タテで交流戦へ
貧打に苦しんだ5月の阪神。一時は12球団で最下位だったチーム打率も「.231」まで回復。5月22日からの6連戦 (1試合は雨天中止) では、5試合中4試合で二桁安打を記録するなど、チーム全体の打棒が活気づいている。非常に良い流れで交流戦に突入していけると言ってもいいだろう。
遅れてきた大砲への期待
八木裕以来の2年連続20本、いや30本塁打も狙えると、金本監督からの強い期待もあった今シーズン。キャンプ第一クールでは打のMVPに挙げられるなど順調な滑り出しを見せたが、オープン戦では「打率.143」、「本塁打0」ともがき苦しみ開幕は二軍スタートとなった。
ウエスタンリーグでも打撃スタイルの模索が続いたが、5月16日のソフトバンク戦で1日2本塁打と大砲の片鱗を見せると、ファンの中でも中谷待望論が沸き起こるなか、5月22日のヤクルト戦より一軍に昇格した。
今季初ヒットまで6打席とやや苦しんだが、26日の巨人戦ではプロ初のサヨナラ打。澤村拓一が投じた4球目のスプリットを執念で捕えた一打となった。さらに翌27日には無死二塁で迎えた2回裏の第1打席、野上亮麿のストレートを捕えるとレフトスタンドへ豪快な一発を突き刺した。
4年ぶりとなる巨人3タテのうち2試合は、中谷のバットがもたらしたと言ってもいいだろう。チーム本塁打24本とリーグ最下位の阪神にとって、中谷の一発は今後に向けた希望の一打となった。
復調気配!?の大山悠輔
時には1割打線とも揶揄されてきた5月の阪神打線において、大山悠輔も苦しんできた。開幕戦では菅野智之から幸先の良い本塁打を放ち、誰もが2年目の更なる覚醒に期待を寄せたが、3・4月は打率.169と苦戦。不振という名のトンネルに突入してしまった。
4月29日の広島戦では打撃不振から今季初のスタメン落ちを経験すると、そこから8試合連続でベンチスタート。打率も1割6分台まで落ちていたが、22日から始まった阪神の連勝と共に、大山も復調の気配をうかがわせている。
直近5試合は18打数9安打、打率.500の大活躍にして、26日と27日の巨人戦は連日の猛打賞。この9安打の内、センター方向に5安打、レフトとライトにはそれぞれ2安打ずつと、状況に応じて広角に打てている。
レギュラーを確約された2年目の春から一転、スタメン落ちも経験したことが、大山を成長させるキッカケになったと言えるような活躍を期待したいところだ。
6月反攻の発火点に
昨年は10勝8敗の貯金2で交流戦を終えた阪神。チーム防御率は3.23と12球団トップを誇るだけに、やはりキーポイントは「得点力」になるだろう。
植田、糸原と小技と足が使える選手はいるだけに、後は主軸に厚みが欲しいところ。大砲ロサリオが苦しむなか、中谷の一発と大山の巧打が加われば、夏場を前に糸井と福留に対する負担も軽減されるはずだ。
金本チルドレンの逆襲で6月反攻へ、生え抜きの若虎にかかる期待は大きい。
文=弥武芳郎(やぶ・よしろう)