オールスターの悲喜こもごも?
交流戦がはじまると、ペナントレースの前半戦も佳境に。そして、両リーグの激突が終われば、今度はオールスターゲームが近づいてくる。
「夢の球宴」とも称されるオールスターゲームは、各リーグの選手たちがファン投票をもとに選出され、いわゆる「ドリームチーム」同士の戦いをおこなうもの。ただし、出場するためにはファンからの投票が必要となるため、実績だけでなく印象値なども重要になってくるし、同じポジションのライバルとの兼ね合いもある。
近年では、長年にわたって西武のレギュラーを張り続けていた栗山巧が2016年に初めてオールスターに出場。レギュラー定着から、およそ10年目のシーズンだったこともあり、話題になったことは記憶に新しい。
あの選手もオールスターは未出場
今回は、以下の基準をもとに、両リーグから3選手ずつ抜粋した。まずはパ・リーグから(成績は2018年シーズンの成績で6月3日終了時点のものと、各選手のキャリアハイの成績)。
【打者】
・規定打席に到達したことがある選手
【投手】
・規定投球回をクリアしたことがある選手
・50試合以上の登板経験がある選手
【打者・投手とも】
・個人タイトルを獲得した経験のある選手
<パ・リーグ>
▼ 東浜巨(ソフトバンク)
☆最多勝:16勝(17年)
今季: 8試合登板 1勝5敗 防御率4.88(18年)
ハイ:24試合登板 16勝5敗 防御率2.64(17年)
▼ 中村晃(ソフトバンク)
☆最多安打:176安打(14年)
今季: 44試合 率.297 5本 16点(18年)
ハイ:143試合 率.308 4本 61点(14年)
▼ 金子侑司(西武)
☆盗塁王:53盗塁(16年)
今季: 49試合 率.220 1本 16点 17盗(18年)
ハイ:129試合 率.265 1本 33点 53盗(16年)
昨季最多勝に輝いた東浜巨だが、今季はここまで1勝と苦しんでいる。また、最近になって打撃の状態を上げてきた金子侑司も、盗塁数はリーグ3位に位置しているが、全体的な数字という部分ではやや物足りなさが残る。ただし、東浜も金子侑も実績という部分では致し方ない部分もあるだけに、今後の活躍に期待したいところだ。
意外だったのは中村晃。2014年に176安打を放って最多安打のタイトルを獲得して以来、4年連続で130試合に出場するソフトバンク不動のレギュラーでありながら、これまでオールスターゲームには縁がない。誰もが認める巧打者だが、同僚に柳田悠岐や昨季ブレイクを果たした上林誠知、デスパイネらがおり、他球団にも秋山翔吾や角中勝也など好選手が多いせいか、未出場となっている。
今年の第2戦は、ソフトバンクが本拠を構える九州の熊本・藤崎台県営野球場。ここまでファン投票の順位でも上位に位置してるだけに、初出場への期待が高まる。
虎のエースは球宴初出場なるか!?
続いて、セ・リーグの選手たちを見てみよう。
▼ メッセンジャー(阪神)
☆最多奪三振:183(13年)、226(14年)
☆最多勝:13勝(14年)
今季:10試合登板 7勝2敗 防御率1.95(18年)
ハイ:31試合登板 13勝10敗 防御率3.20(14年)
▼ 大和(DeNA)
☆ゴールデングラブ:外野手部門(14年)
今季: 48試合 率.222 0本 12点(18年)
ハイ:121試合 率.264 1本 24点(14年)
▼ 亀井善行(巨人)
☆ゴールデングラブ:外野手部門(09年)
今季: 42試合 率.300 4本 24点(18年)
ハイ:134試合 率.290 25本 71点(09年)
このなかで意外なのは、メッセンジャーか。来日1年目こそ5勝6敗といまひとつだったが、2年目の2011年に12勝を挙げるなど、在籍9年目にして通算91勝を挙げてきた押しも押されもせぬ虎の大エース。にもかかわらず、オールスターファン投票の最高順位は昨季の3位だ。メッセンジャーが選ばれない期間、阪神からは藤浪晋太郎や能見篤史らが選出されてきた。
今季はリーグ2位の勝ち星、同トップの防御率をキープするなど36歳にして全盛期を迎えた感がある。今年の第1戦は京セラD大阪ということもあり、関西の地でメッセンジャーの球宴初出場なるか。現状では、松坂大輔(中日)、菅野智之(巨人)に次ぐ3位につけている。
その他の選手では、大和、亀井善行らが未出場。FA移籍を経て今シーズンはDeNAのレギュラーとして活躍する大和だが、低打率であることに加え、セ・リーグのショートには坂本勇人がいる。亀井善行にしても、今季はケガもなく好調だが激戦区の外野手部門でどこまで食い込めるか。
今季のオールスターゲームの投票締め切りは6月17日(日)。今年の夢の球宴には、どのような選手たちが名を連ねるのか、その結果が今から楽しみだ。
文=福嶌弘(ふくしま・ひろし)