第1号からわずか8試合で5本目
日本ハム・近藤健介が昨季までは見られなかった長距離砲としての姿を見せている。6月3日におこなわれた中日戦の8回、死球で出塁した大田泰示を一塁に置いた場面で相対したのは中日のドラフト1位ルーキー・鈴木博志。その初球、力のある152キロ外角直球を振り抜くと、打球は逆方向の左翼スタンドに飛び込む第5号2ランとなった。
この日の一発により、近藤は直近の出場8試合で5本塁打。まさに絶好調、本塁打の量産体制に入っているかのうようだ。近藤といえば“夢の打率4割”を期待される典型的なアベレージヒッター。プロの世界では、決してパワーがウリというタイプではない。昨季まで過去6シーズンの通算本塁打はわずか17本である。
今季もようやく第1号が飛び出したのはつい先日の5月25日、西武戦。実に135打席を要しての一発だった。それがこの変貌ぶりである。独特の眼球トレーニングを取り入れるなど飽くなき探究心によってファンの想像を超えるスピードで成長を続ける24歳。スラッガーに必要な“なにか”をつかんだのかもしれない。
西武・秋山も昨季からスラッガーに進化?!
アベレージヒッターの“長距離砲化”というと、昨季の秋山翔吾(西武)が記憶に新しいところ。2015年にプロ野球記録となるシーズン216安打の金字塔を打ち立てた秋山。2016年までのシーズン自己最多本塁打は、同年の14本だった。しかし、昨季は25本塁打を放ち、自己ベストを大きく更新。それでいて首位打者と最多安打のタイトルを獲得するなど、安打製造機ぶりはそのまま。対戦チームとしては頭が痛いところだろう。
今季も秋山は十分に長距離砲と呼んでいいような数字を残している。ここまでの9本塁打はリーグ9位タイ。シーズン143試合に換算すれば、昨季と全く同じ25本塁打ペースだ。昨季の秋山がいわゆる“確変”モードだったわけではない。
果たして近藤の場合はどうなのか!? 好調期に入っているだけなのか? それとも秋山と同じように長距離砲化の兆候が現れているのか……。いずれにせよ、近藤の対戦相手からすれば、これまで以上に「長打」というものに対する警戒を強める必要がでてきたことで、より“厄介な存在”になっていることは間違いないだろう。
※数字は6月3日終了時点
文=清家茂樹(せいけ・しげき)