コラム 2018.06.05. 11:05

交流戦元年にブレイクした平成を代表する“ホームランアーチスト”中村剛也【平成死亡遊戯】

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2005年5月15日の巨人戦、中村が左中間へ2試合連続本塁打となる2ランを放つ。投手高橋尚=インボイス西武

6月の風物詩!?


 14年目の日本生命セ・パ交流戦が始まった。

 今季もここまで6戦全勝と無類の強さを発揮して奪首も視界に捉えたソフトバンク、リーグ最下位ながらも5連勝と一気に上位チームに迫るヤクルトと、同リーグのライバル球団との差を一気に詰められる毎年恒例の激戦が繰り広げられている。

 そんな交流戦だが元々は球界再編問題が起きた翌2005年(平成17年)の5月6日からスタート。内閣総理大臣・小泉純一郎の“小泉劇場”がユーキャン新語・流行語大賞に選ばれ、秋葉原ドン・キホーテ8階に“AKB48劇場”がオープンしたこの年、当初の交流戦はホーム&ビジターで3試合ずつの計36試合、しかも予告先発はなしと今よりかなりハードな戦いだった。

 ちなみに試合数については初年度からさすがに多すぎという声が上がり、3年目の2007年から24試合制、2014年夏の12球団代表者会議でセ球団から要望の18試合に削減が議論され、翌2015年から現行の18試合制に落ち着く。


語り草となった出来事の数々


 さて、13年前を振り返ると、歴代OBの始球式セレモニーや復刻ユニフォームなど現在では定番化したイベントに各球団が力を入れ始めたのもこの頃からだ。すべてが手探り状態の交流戦で、初代最多勝に輝いたのは6勝を挙げた西武の西口文也。2005年5月13日、9回表二死まで無安打投球も、最後の最後で巨人の清水隆行に本塁打を浴びたノーヒットノーラン未遂事件は今でも語り草である。

 6月15日、鮮烈デビューを飾ったのが日本ハムのドラ1投手ダルビッシュ有。春先の喫煙事件で出遅れた18歳は、本拠地札幌ドームの広島戦で8回まで無失点の快投を披露、9回に2連続アーチを浴びたがプロ初登板初先発初勝利を記録した。

 ちなみに人生において役に立つことはほとんどない豆知識だが、5月11日の巨人戦で交流戦パ投手第1号本塁打を放ったのは、オリックスの登録名「JP」ことジェレミー・パウエルだったことも付け加えておこう。


若手スラッガーの台頭


 そして、打者では西武ライオンズの個性的な若手スラッガーがブレイクする。高卒4年目の中村剛也である。

 当時の西武打線は伊東勤新監督の元、前年度に日本一に輝いた戦力充実期。05年首位打者の和田一浩が打率.322、27本塁打、69打点。アレックス・カブレラは打率.300、36本塁打、92打点。ホセ・フェルナンデスも打率.293、26本塁打、84打点と主軸に君臨し、石井義人が打率4割ジャストで交流戦初代首位打者に輝き、さらにまだ20代前半の中島裕之、栗山巧、片岡易之ら新世代も頭角を現し始めていた。そんな強力打線の中で、中村はノビノビと育つ。

 背番号60は5月6日の初戦でシーズン2度目のスタメン出場を果たすと、交流戦第1号アーチをかっ飛ばし、気が付けばトップタイの12本塁打を記録。前年までわずか通算2本塁打の若者が、誰も予想だにしなかった初代キングに輝き、その後、2011年、2012年、2014年と交流戦で計4度の本塁打王を獲得した。

 飛ばないボールと言われた低反発球時代の12年、李大浩(オリックス)やブランコ(中日)といった両リーグを代表する助っ人大砲たちでさえ、それぞれ6本に終わったが、中村だけひとり別次元の12発を放ったのは記憶に新しい。もちろん通算本数でも71本塁打とトップを独走している。


平成屈指の和製大砲


 公称サイズは175cm、102kg。個性的な風貌と規格外のパワーで、交流戦スタートをきっかけに世に出た感のあるおかわり君は、プロ17年間で現役最多の本塁打王6回、打点王3回、通算満塁アーチ16本はあの王貞治を上回る歴代1位と、今世紀屈指の和製大砲へと成長し、通算357本塁打を積み重ねた。

 WBCや五輪出場経験がないため世間一般の知名度は高いとは言えないが、個人的には激動の平成球界を代表するホームランアーチストだと思う。

 8月に35歳になる今季は4月中に左肩痛で登録抹消されるアクシデントもあり、ここまで17試合で打率.170、本塁打なしと極度の打撃不振に喘いでいる。約1カ月半ぶりに一軍昇格した6月1日の阪神戦でも2三振で無安打と快音は聞かれないままだ。

 野球界の時の流れは早い。05年交流戦で優勝したロッテの指揮を執ったのは懐かしのボビー・バレンタイン監督、5勝を挙げ初代MVPを受賞したイケメンエース小林宏之は6月4日に40歳となり、現在マリーンズ・ベースボール・アカデミーでコーチを務めている。

 気が付けば、中村もあの頃のカブレラや和田一浩の年齢を越えベテランと呼ばれる立場に。チームでは13年前の背番号60のような輝きを放つ新4番“おかわり2世”の山川穂高というニュースターが出現したが、本家おかわり君もこのままでは終われない。

 自身のブレイクのきっかけとしたお得意様の交流戦で、首位固めを狙う西武打線の起爆剤になれるか? パ・リーグペナント争いの行方は中村剛也の復活が握っていると言っても過言ではないだろう。

【中村剛也】
▼ 05年交流戦打撃成績
35試合
打率.271
12本塁打
31打点
OPS.983

文=中溝康隆(なかみぞ・やすたか)

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