挨拶代わりの大アーチ!
球団ワーストの13連敗を喫した昨年同様、交流戦での苦しい戦いが続いている巨人。6月8日には一時セ・リーグの最下位に転落。6月以降の最下位は2006年以来で12年ぶりのことだという。
2位以下の差が詰まっていることもあって、現在は最下位を脱出。4位まで順位を上げてきたとはいえ、5位とは0.5ゲーム差。最下位とも1.5ゲーム差と予断を許さない状態は続く。
そんな中、今季の巨人ファンの“心の拠り所”となっているのがプロ入り4年目の岡本和真だ。オープン戦では17試合で4本のアーチを描き、15打点は12球団最多。阿部慎之助から一塁レギュラーの座を奪うと、以降も勝負強い打撃で打線の中心に。開幕時は6番だったが、次第にクリーンナップを任されるようになり、6月2日のオリックス戦からは4番の座に就いている。
巨人軍第89代4番打者の誕生――。大きな注目を浴びた中で迎えた第1打席、オリックスの好投手・山岡泰輔が投じたストレートを完ぺきにとらえると、高々と舞い上がった打球は京セラドーム大阪のレフトスタンド・5階席に着弾。挨拶代わりとしては十分すぎるほどの特大の一発を放ち、ファンの度肝を抜いた。
その後もプレッシャーに押しつぶされるような様子は微塵もなく、むしろ4番に定着した6月2日以降は11試合で打率.419、3本塁打、9打点と成績を伸ばしている。改めて今季の充実ぶりと、大きく成長した姿を誇示してみせた。
過去の“4番初打席本塁打”を見ると…
新たな選手が出てくるごとに“第○代”としてカウントされ、大きな注目を集める巨人の4番打者。岡本で89代目だったのは上述の通りだが、岡本と同じように「4番スタメン初戦で本塁打」を放った選手というと、一体どのくらいいるのだろうか。
【巨人・4番デビュー戦で本塁打を放った選手】
25代目:長嶋茂雄(1958年8月6日vs.広島)
26代目:坂崎一彦(1959年7月21日vs.広島)
36代目:柴田 勲(1969年7月3日vs.阪神)☆
41代目:デービー・ジョンソン(1976年9月1日vs.大洋)☆
45代目:中畑 清(1981年4月11日vs.阪神)
59代目:大久保博元(1993年10月2日vs.広島)
60代目:落合博満(1994年4月9日vs.広島)
70代目:イ・スンヨプ(2006年3月31日vs.横浜)
72代目:阿部慎之助(2007年6月9日vs.楽天)☆
79代目:レスリー・アンダーソン(2014年4月26日vs.広島)
89代目:岡本和真(2018年6月2日vs.オリックス)☆
巨人の“4番デビュー戦本塁打”は岡本で11人目。意外と多い、という印象と同時に、改めてそのメンバーの豪華さに驚かされる。ちなみに、初戦の初打席に限ると星印の4名だけだ。
将来の主砲候補から、巨人不動の4番打者へ…。驚くべきスピードで成長を続ける背番号25から目が離せない。
文=福嶌弘(ふくしま・ひろし)