今季好調な2人に期待

◆ 今季絶好調な2人に期待

 開幕から70試合前後を消化した2018年のメジャーリーグ。今季ここまでで最も好調な投手といえば、アストロズの絶対的エース、ジャスティン・バーランダーで間違いないだろう。

 今年で35歳を迎えたベテランだが、今季は15試合に登板して9勝2敗、防御率は1.61という圧巻の数字。被打率.160とWHIP0.76はともにメジャー全体でもトップの数字で、現在メジャーで“最も打たれない投手”となっている。

 そして、そんなバーランダーよりも優れた防御率を残している投手がいる。メッツのジェーコブ・デグロムだ。チームを引っ張る29歳右腕の防御率は驚異の1.55。シーズン折返しまであと2週間ほどあるなか、現時点での2人の防御率はかなり優秀だと言える。

 
◆ 過去に38例も…?

 そんな2人に立ち向かって行ってほしいのが、“防御率1.50”という壁だ。

 過去にシーズン防御率が1.50を切ったという例は「38例(26投手)」あるのだが、そのうち37例は1919年よりも前、いわゆる『デッドボール時代』以前に記録されたものだった。すなわち、それ以降の約100年の間で成し遂げられたのはたった1度だけ、ということである。

 1920年以降で唯一この大偉業を成し遂げたのが、1968年のボブ・ギブソン(カージナルス)。しかも、その数字は1.12(304.2回/自責点38)という圧倒的なものだった。この時代もやや投高打低気味ではあったが、ギブソンの圧巻の投球は今でも語り草になっている。

◆ 「1.50」という壁

 伝説のシーズンから今年でちょうど50年。その間、最も防御率1.50という数字に近づいたのが、1985年のドワイト・グッデン(メッツ)だった。

 当時メジャー2年目の20歳だった若者は、24勝(4敗)に防御率1.53、奪三振268で投手三冠を達成。これは今なお残るトリプルクラウンの最年少記録である。

 実は、グッデンには防御率1.50の壁を打ち破る大きなチャンスがあった。防御率1.51で迎えたシーズン最後のマウンド。その試合も8回まで自責点1という好投を見せ、最終回をゼロに抑えれば防御率1.496となるところだった。

 ところが、二死から2つの四球でピンチを作ると、適時打を浴びて失点。ギブソン以来の快挙とはならず、それをギリギリのところで阻止したのが、ギブソンが所属していたカージナルスだったというのも奇遇としか言いようがない。

 最近では1994年のグレッグ・マダックス(ブレーブス)が1.56という数字を記録したものの、「1.50」への挑戦者はなかなか現れていなかった。果たして、バーランダーとデグロムはこの壁を打ち破ることができるのか。残りのシーズン、2人の登板から目が離せない。

文=八木遊(やぎ・ゆう)

【八木遊・プロフィール】
1976年、和歌山県出身。大学卒業後、某スポーツデータ会社に就職。プロ野球、MLB、NFLの業務などに携わる。野茂英雄と同じ1995年に渡米。ヤンキース全盛期をアメリカで過ごした。日本にファンタジーベースボールを流行らせたいという構想を持ち続けている。

この記事を書いたのは

八木遊

1976年、和歌山県で生まれる。地元の高校を卒業後、野茂英雄と同じ1995年に渡米。ヤンキース全盛期をアメリカで過ごした。米国で大学を卒業後、某スポーツデータ会社に就職。プロ野球、MLB、NFLの業務などに携わる。

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