コラム

西武・源田壮亮の夢の続き

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西武・源田壮亮

白球つれづれ2018~第20回・夢のような数日間


 ど派手で豪快な西武打線にあって、決して主役に躍り出るタイプじゃない。守備は大向こうをうならすファインプレーよりも、さりげなく難しい打球を処理する職人肌。それでいて、指揮官・辻発彦の信頼は群を抜いている。源田壮亮とはそんな選手だ。

 地味なバイプレーヤーが、一躍脚光を浴びたのは7月中旬のこと。それも1週間近くにわたり話題を独占する夢のような時間だった。

 10日に、あの長嶋茂雄(現巨人軍終身名誉監督)の持つ入団以来の連続フルイニング出場、220試合に並ぶと、翌11日のロッテ戦で更新。しかも自身プロ入り初の5安打のおまけつきだ。いつの間にか、僚友からは「ミスター」の称号まで飛び交った。勢いはこれだけで止まらない。夢の球宴・オールスター第2戦では2回に全パの先制打となる二塁打を放ち、MVPまで獲得、第1戦の森友哉に続く連続受賞にパリーグの首位を行く西武の勢いを証明した。

 93年生まれの25歳は長嶋の現役時代を知らない。

 「成績を見ました。すべてが凄いですよね。すごい人だという印象です」。東京六大学のスーパースターから巨人、そして球界のスーパースターとして君臨した天才と比較するのは酷というものだが、こちらだって昨年は年間155安打のルーキー記録(ドラフト制以降)を塗り替えて新人王、順調すぎるほどのプロ人生のすべり出しだ。


2年目の進化


 満点に近い成績を残した昨季よりさらに進化している。球宴前の折り返し時点で打率.290は打撃10傑の7位で盗塁25は日本ハムの西川遥輝と並ぶリーグトップ。1番の秋山翔吾と3番・浅村栄斗、4番・山川穂高に挟まれた2番打者として安打を量産して、なおかつ塁上を走り回るのだから脅威のレオ打線の潤滑油となっている。

 「相手も研究が進む中で、よく対応している。あいつがそこ(2番・遊撃)にいてくれるだけでいい」と監督の辻も手放しの評価なら、打撃コーチの嶋重宣も日頃からの努力に目を細める。

「あれこれ考えず、体の反応で打てている。去年よりスイングスピードが上がって力強い打球が飛ぶようになった。キャンプから人一倍振り込んできた成果じゃないかな」

 ショートというポジションは広い守備範囲と強肩が求められる。さらに盗塁王を覗う機動力野球の先兵という過酷な役割。シーズン当初には頭部に死球、6月の交流戦では走塁中に右手人差し指を負傷するなど常に試練は襲ってくる。それでも源田に「休養」の二文字は似合わない。

 「ゲームセットまでフィールドに居続けるのが理想。そう出来るように役割を果たしたい」とまだまだフルイニング出場に意欲を燃やす。

 ミスタープロ野球の記録を超え、球宴では並みいるスター軍団の中で輝きを放った。次なる夢はペナント制覇とビールかけ。さらにその先には侍ジャパンでの活躍までが見えてくる。

 肝心の西武のチーム状態は決して盤石とは言えない。後半戦スタートのソフトバンク戦では1試合で8本塁打を喫するチームワーストの投壊ぶりで不安を露呈した。投手陣の立て直し無くして首位安泰とはいかないが、当面は自慢の強力打線で打ち勝つしかないだろう。打って、守って、走れる。辻西武の申し子の出番はまだまだやってくる。


文=荒川和夫(あらかわ・かずお) 
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