イチローのデビューから17年
メジャーリーグはオールスターも終わり、各チームが100試合前後を消化した。ア・リーグ西地区では、アストロズが66勝36敗の好成績で2位マリナーズに5ゲーム差をつけ首位を走っている。
アストロズとマリナーズは球宴後、ともに2勝1敗。追うマリナーズとしてはなかなかアストロズとの差が縮まらない状況が続いている。ワイルドカード争いを見ると、マリナーズはポストシーズン圏内の2枠目を確保しているが、次点のアスレチックスとの差は僅かに3ゲーム。そのアスレチックスは、メッツからリリーフ投手のジェウリス・ファミリアをトレードで獲得し、4年ぶりのポストシーズンに向けてその本気度が伺える。
ワイルドカード争いで追われる立場のマリナーズ。最後のポストシーズンは、イチローがメジャーデビューを果たした2001年までさかのぼる。これは30球団の中で最もポストシーズンから遠ざかっていることを意味する。もしマリナーズが17年ぶりのポストシーズン進出を決めれば、歓喜の輪の中心には守護神のエドウィン・ディアスがいる可能性が高い。
【ア・リーグのワイルドカード争い】
ヤンキース :63勝34敗 勝率.649 -
マリナーズ :60勝40敗 勝率.600 -
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アスレチックス:57勝43敗 勝率.570 3.0
レイズ :50勝49敗 勝率.505 9.5
エンゼルス :50勝50敗 勝率.500 10.0
60セーブの大台に到達するか!?
マリナーズは今季、1点差の試合が38試合を数え、26勝12敗と接戦で無類の強さを誇っている。チームの総得点423に対し、総失点は422とほぼ同じ。勝率5割前後でもおかしくはないが、実際は20個の貯金を作っている。その大きな要因の1つが、ディアスの存在であることに異論はないだろう。
現在マリナーズはちょうど100試合を終えているが、ディアスのセーブ数はすでに37個。メジャー全体で30セーブ以上挙げているのはディアス以外にクレイグ・キンブレル(レッドソックス、31セーブ)がいるだけ。どれだけディアスがハイペースでセーブを記録しているかがわかる。もしディアスがここまでのペースを維持すれば、シーズン終了時には、59セーブとなる。
大台の60セーブに到達すれば、メジャー史上2人目となる。ちなみに史上最多は、2008年にフランシスコ・ロドリゲス(エンゼルス)が達成した62セーブだ。ポストシーズン争いの中でディアスがもう一段ギアを上げることができれば、ロドリゲスが持つシーズン最多セーブ記録を破る可能性が出てくるかもしれない。
戦力面ではアストロズに劣るマリナーズだが、前半戦と同じように接戦を落とさず、目の前の勝ちを拾っていければ、地区優勝のチャンスも必ず訪れる。そのためにも最後のイニングを締める守護神の存在は重要だ。2018年のマリナーズの命運は若き剛腕ディアスの右腕(みぎうで)にかかっているといっても、過言ではない。
▼ ディアスの通算成績
18年:49試合 0勝2敗37S/防御率2.20/80奪三振
17年:66試合 4勝6敗34S/防御率3.27/89奪三振
16年:49試合 0勝4敗18S/防御率2.79/88奪三振
文=八木遊(やぎ・ゆう)