レッドソックスに食らいつく
ア・リーグ東地区でレッドソックスとデッドヒートを展開しているヤンキース。64勝35敗(勝率.646)という好成績を残しながらも、首位を走るレッドソックスがそれを上回るペースで白星を重ねおり、現在両者の間には5ゲームの差が開いている。
そのヤンキースは現地時間24日(日本時間25日)、かつてのセーブ王であるザック・ブリトンをオリオールズから獲得した。すでにメジャーNo.1の救援防御率を誇るヤンキースだが、さらなるブルペン陣の充実に成功した形だ。
ブリトンが加入する前の段階だが、実は今季のヤンキースのロースター平均年齢は27.6歳と非常に若い。ア・リーグではホワイトソックスの26.2歳に次いで2番目という若さである。
ヤンキース打線を見ると、アーロン・ジャッジ(26歳)とジャンカルロ・スタントン(28歳)という充実期を迎えた2人が主軸を務める。そこにミゲル・アンドゥハー(23歳)とグレイバー・トーリス(21歳)といった若い力が加わり、強力打線を形成している。
投手陣では、ルイス・セベリーノ(24歳)が絶対的エースに成長。すでに14勝を挙げており、サイヤング賞候補にも名前が挙がっている。今季のヤンキースは、投手と野手の両方で20代の若手~中堅が中心のチームと言っていいだろう。
前回の世界一を知る男たち
そんな中、ヤンキースにとって最後のワールドシリーズ制覇(2009年)を知るベテラン3人が貴重な戦力となっている。
ブレット・ガードナー(34歳)は、09年のワールドシリーズを2年目の若手として経験。その年は準レギュラーという立ち位置だったが、ワールドシリーズにも5試合に出場した。しかし、その大舞台では10打数無安打に終わり、それ以来チームとともにワールドシリーズから遠ざかっている。今季は主に1番打者としてここまで9本塁打、9盗塁をマーク。打線を牽引している。
今月38歳になったばかりのCC・サバシアも、09年の優勝を味わった一人だ。その年はFAでブルワーズから移籍した1年目。大型契約の重圧もあっただろうが、見事にそれをはねのけ19勝8敗の堂々たる成績を残した。ワールドシリーズでは2試合に先発。いずれも好投したが、0勝1敗と白星を挙げることはできなかった。サバシアにとってもその時が自身唯一のワールドシリーズ出場である。
3人目はセットアッパーのデービッド・ロバートソン(33歳)。ガードナーと同じく2年目で世界一の美酒を味わった右腕は、その年ポストシーズンの5試合に登板して無失点。自身の役割をしっかりと果たしている。その後、14年のオフにFAでホワイトソックスに移籍したが、昨季途中にトレードで古巣に出戻った。今季はここまでチーム最多の44試合に登板し、ヤンキースブルペンを支える。
今季のヤンキースは、20代の若い選手の活躍に目を奪われがちだ。しかし、だからこそ9年前の栄光を知るベテラン3人の力が必要になってくるだろう。果たして3人は2度目の美酒を味わうことができるのだろうか。
文=八木遊(やぎ・ゆう)