オールスター明けに急上昇!
今年も広島が強さを発揮する一方、2位以下は大混戦となっているセ・リーグの戦い。その中でオールスター明けの10試合を9勝1敗と勢いに乗っているのが、昨季リーグ最下位の屈辱を味わったヤクルトだ。
28日の阪神戦は台風接近のため中止となったものの、20日の中日戦から7連勝中。オールスター前には8連敗を喫して最下位に沈んだものの、つかの間の休息を経て見事に復活を果たした。
好調なチームのなかで今回取り上げたいのが、ベテラン・青木宣親の奮闘だ。日本球界1年目の36歳は、5月までを終えた段階で打率.265と思うような活躍ができずに苦しんでいたが、打順が2番に固定された5月下旬頃から徐々に本領を発揮。6月は月間打率.388と見事に盛り返すと、7月も「脳しんとう特例措置」での登録抹消がありながら月間打率.364と好調をキープしている。
ここまでの打率.314はリーグ4位、出塁率.407もリーグ6位という好成績。7月に入って後ろを打つ山田哲人が絶好調なだけに、青木の安定したチャンスメイク力が際立っている。また、つなぎ役としてだけでなく、得点圏打率.338はリーグ3位とポイントゲッターとしても機能しており、まさに打線に欠かせない存在として君臨しているのだ。
36歳にして更なる進化
活躍の要因としては、三振の少なさが挙げられる。三振1つに対する打席数を表す「三振率」を見ると、規定到達29名の中でトップの12.5をマーク。NPB時代の自己ベストがメジャー移籍前年の2011年に記録した11.7だったことを考えると、そのミート力は衰えを知らないどころかむしろ進化している。
今年もまだ広島の勢いを止めるチームが出てきていないセ・リーグであるが、ヤクルトも広島に対しては12試合で3勝9敗とやられている。とはいえ、今年は中止もあってまだ直接対決が13試合も残っているだけに、「8.0」の差もまだまだ諦めるのは早い。
チームは2015年にリーグ制覇を果たしているものの、もちろんその頃の青木といえばメジャーで戦っていた最中。メジャーではロイヤルズ時代にリーグチャンピオンになった経験があるものの、ヤクルトでは優勝を経験していないのだ。
日本復帰の入団会見で「優勝しか考えない」と宣言したように、チームを優勝争いへと導く活躍ができるか。勢いに乗るヤクルトと、チームを引っ張るベテラン・青木に注目だ。
文=八木遊(やぎ・ゆう)