どら増田のオリ熱魂!〜第32回・後半戦の新戦力〜
オリックスは前半戦の終盤になって、トレードや移籍による選手獲得で緊急補強を行った。特にチームの顔だった伊藤光が、赤間謙とともにDeNAの高城俊人、白崎浩之との2対2のトレードに出されたことは、後藤光尊氏のトレード(当時楽天の鉄平と)以来の衝撃が走った。あの物議を醸し続けていた誤審問題がぶっ飛ぶほどのニュースと言っても過言ではないだろう。
DeNA時代にはムードメーカーとしてチームメイトやスタッフ、マスコミ関係者、そして何よりファンに愛されていた高城はファームでのスタートとなったが、富田林で開催された『ドリームフェスティバル』では、他の若手選手と一緒にファンと笑顔でブドウ狩りに参加するなど、チーム溶け込んでいる様子。一軍には自主トレをともにしている山本由伸や、ポジションは被るが、旧知の若月健矢などと共に、一軍の舞台で躍動する姿を見せてもらいたい。
長村裕之球団本部長が「阪神時代とは違ってパワーピッチャーになっていた」と一目惚れし、BCリーグ福井ミラクルエレファンツから獲得した岩本輝は、山田哲人(ヤクルト)や山崎康晃(DeNA)、千賀滉大、甲斐拓也(以上ソフトバンク)、有原航平、西川遥輝(以上日本ハム)、源田壮亮、外崎修汰(西武)、中村奨吾(ロッテ)らを輩出した1992年度生まれの黄金世代だ。
岩本は「タイガース時代よりスピードが上がっている。色々なコーチに指導していただいたことが、自分にはまってきていると思います」とコメントしていたが、オリックスにも後藤駿太、塚原頌平、山崎福也、小林慶祐、福田周平と多くの同級生がいる。ファームで接する機会が多かったという山崎福も「真面目だしいいやつ。負けられない」と刺激を受けていた。
その岩本は27日に一軍昇格を果たすと、さっそく同日の日本ハム戦に登板。1イニングをしっかりと打者3人で抑える上々のデビューを果たした。昨日の試合も1回をしっかり抑えており、中継ぎ陣に疲れが見え始めているいま、これまでの経験を生かし、このチャンスを生かしてもらいたい。
新戦力の中で一足早く一軍の切符を手に入れたのは、DeNAからやって来た白崎と、新外国人右腕のローチだった。白崎は当初、代走や代打での起用が続いていたが、25日の西武戦からスタメンで起用され、同日の試合では犠飛で打点を記録、ここ4試合は先発出場を続けており、守備面でもチームに貢献しているだけに、今後の活躍にしたいところ。
特徴のある髭がマリオブラザーズのマリオに似ていることから早速、“オリのマリオ”の愛称が付けられたローチは、22日のロッテ戦(ZOZOマリン)に先発。初回からロッテ打線に捕まり、井上晴哉、角中勝也の連続タイムリーで2点を先行されたが、その後は粘りのピッチングで、4回2/3を96球、7安打、2三振、3四球、2失点という内容だった。
登板後には、「登板間隔が少し空いていたけど、自分の中では最低限の仕事はできたと思う。次の登板では今日以上のピッチングをしたい」と語り、最速146キロのストレートより、140キロ前後のツーシームを中心に、カットボール、チェンジアップ、カープ、そしてフォークと変化球で緩急をつけるピッチングを披露できたことに手応えを感じている様子だった。
福良監督は「きょうの試合で評価するのは難しい。(厳しく決まった球がボールと判定されたが)なかなか低めをとってくれなかったけど、“そこは”次どういうピッチングをするか。久々の実戦だったから、本人もへばってたんやないですか。次も行かせます!」といつもの福良節で、次回の登板に期待を込めた。そして今日、チームの連敗を止めるべく、札幌のマウンドに上る。
オリックスはこのところ中継ぎ陣への負担が大きく、先発もルーキー田嶋大樹の復帰が遅れていて枚数が足りない状況。外国人枠の関係から、不振の最中とはいえ一発が打てるマレーロを抹消して、ローチを昇格させただけに、きょうの登板では1イニングでも多く投げてもらいたいというのが、首脳陣の本音だろう。
厳しい試合が続いている後半戦、オリックスが生き残ることができるかどうか、新戦力選手にかかる期待は大きい。
取材・文 = どら増田
※訂正
初出時に「小林慶祐」選手の名前の記載に誤りがありましたので訂正いたしました。
申し訳ございません。
(7月29日12時00分)