チーム“解体”によりバラバラに
昨季までイチローが3シーズンを過ごしたマーリンズ。今季は開幕前から厳しい戦いが予想されていたが、現地時間12日時点で48勝71敗、ナ・リーグ東地区の最下位に沈んでいる。
マーリンズ低迷の理由は、オフにチームを“解体”したことがすべてだ。投打の主力級を次々と放出。特に外野手はイチローを含めて主力だった全員が新天地に移った。
マーリンズ時代のイチローは、ジャンカルロ・スタントン、マルセル・オズナ、クリスチャン・イエリチというメジャー屈指の外野手トリオを前にプレー機会を奪われる格好となり、特に3人にケガがほとんどなかった2017年はイチローが先発出場する機会も大幅に減った。それだけ3人の能力が高かったということだ。
その“3人”は今季、新天地でどのようなシーズンを送っているのだろうか…。
ポストシーズンで“再会”も…?
日本で最も目にする機会が多いのは、ヤンキースに移ったスタントンだろう。
今季から初のア・リーグ、そして不慣れなレフトの守備に就く機会も多く、春先は低打率にあえいだ。しかし、暖かくなるにつれて本領を発揮。現地12日現在で打率.281、30本塁打、76打点と合格点の数字が並ぶ。特に最近6試合は5本塁打と調子を上げている。
カージナルスに移籍したオズナは、不本意な移籍1年目を送っている。
マーリンズ最終年の昨季は159試合に出場し、打率.312、37本塁打、127打点とMVP級の成績をマーク。オールスター出場に加え、ゴールドグラブ賞も受賞した。しかし、今季はここまで打率.272、13本塁打、62打点。ほぼ全試合で4番を任されているものの、昨季に比べると物足りない数字が並ぶ。
そして3人の中で最も飛躍したのが、ブリュワーズに移籍したイエリチだ。
主に2番を任されている今季は打率.312、18本塁打、60打点をマーク。走攻守すべてでチームに貢献しており、3人の中では唯一、今季のオールスターにも選出された。
昨季までマーリンズ一筋でともに成長してきた3人。古巣ではポストシーズンに進むことは一度もなかったが、今季は新天地でいずれもポストシーズンを狙える位置にいる。特にスタントンは通算1102試合に出場しているが、この試合数はポストシーズン未経験の現役選手ではマリナーズのカイル・シーガー(1115試合)に次いで多い不名誉な記録だ。ポストシーズンへの想いは最も大きいだろう。
古巣マーリンズでイチローと過ごした時間は3人にとっても大きかったはず。今季からそれぞれの道を歩み始めた3人がポストシーズンであいまみえることはあるだろうか。
文=八木遊(やぎ・ゆう)