コラム

由伸丸よ、どこへ行く?

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巨人・高橋監督=東京ドーム(C)KYODO NEWS IMAGES

白球つれづれ2018~第29回・盟主の迷走!?


 まさに踏んだり蹴ったり、とはこのこと。巨人にまた新たな不名誉記録が積みあがっていく。15日のDeNA戦に競り負けて今季67敗目。リーグ優勝の可能性が完全消滅した。4年連続のV消滅は球団ワーストタイとなる。

 続く中日戦、初戦こそ久々の打線爆発で快勝したものの、2戦目はまたいつもの貧打に逆戻りで完敗。今度は13年ぶりのホームゲーム負け越しが決まった。この試合では主将の坂本勇人が試合途中に左太もも裏に違和感を訴えて途中交代、さらに若き4番・岡本和真も14日のDeNA戦で右手親指に死球を喫して以来10打数無安打と急ブレーキでは明るい材料を探す方が難しい。

 クライマックスシリーズ進出へ、勝負と位置付けた7連戦に1勝5敗1分けの体たらく。気が付けば4位の中日、5位のDeNA、6位の阪神(18日現在、以下同じ)とも1.5ゲーム差だ。残り試合数を見ると巨人が「10」に対して中日は「9」ながら、DeNAは「15」、阪神に至っては20試合もある。したがって、このゲーム差はあってないようなもの、最悪の場合は最下位転落のシナリオまで覚悟しなければならないピンチなのだ。


巨人の不文律は…


 それにしても気になるのが山口寿一オーナーから飛び出した監督・高橋由伸への来季続投を示唆する発言である。今月12日のオーナー会議終了後に「十分にチームを整えて監督には(来季も)腕を振るってもらいたい」と語り、若手の育成面を高く評価。その上で球団にも影響力の強い渡辺恒雄読売本社代表取締役主筆の意向にも触れて「かねて高橋監督の力を認めている。同じ考えだろうと思います」と続けた。

 この山口発言、古き巨人時代の担当記者だった筆者には、にわかに信じ難いと言えばうがち過ぎだろうか? かつての巨人の掟と言えば、どんな人気監督でもV逸が続けば退陣に追いやられた。長嶋茂雄の第一期監督時代は解任、王貞治だって無念の思いを持ちながら巨人のユニホームを脱いでいった。堀内恒夫だって3位、5位に沈むと2年で退陣に追い込まれている。

 確かに時代は変わり、チームは変革期の最中にいる。しかし、高橋は3年契約の最終年で4年連続のⅤ逸であれば、このままで再出発とは思えない。仮にAクラスも逃すようなら高橋自身から進退伺を出す可能性もある。もしくは、すんなり監督の留任が決まってもコーチ陣の粛清や大幅な手直し人事は避けられないだろう。

                                                                                          夏を過ぎると各球団でも人事の動きは加速する。一部週刊誌などでは高橋の退陣後の後任監督として松井秀喜や、その松井までの繋ぎとして前DeNA監督だった中畑清、さらには原辰徳の再々登板などの活字が躍っている。こうした周囲の雑音に蓋をする狙いがオーナーの発言にはなかったのか? まだまだ予断は許さない。


遠ざかる広島の背中


 今季の高橋巨人は、若手の育成と同時に浮上という、大きなテーマを掲げた。それは打倒広島のためのチーム力の向上だ。昨年の対広島戦は7勝18敗。特に本塁打と盗塁部門で大きな差をつけられた。では今季のここまではどうなのか? 対戦成績では去年よりさらに悪い5勝16敗1分け。盗塁は昨年、走りまくった広島が数を減らしているため大差はなくなったが、チーム本塁打は未だに30本差近くある。

 ヘッドコーチの村田真一は「いつもそこそこの戦いになるが、最後に一発や、こちらが持ちこたえられずにやられている」とその差を分析する。今年の巨人の1点差試合は9勝23敗のリーグワースト。これに対して広島は19勝13敗。ここぞの勝負強さや菊池涼介に代表される鉄壁の守備。クロスゲームほどベンチの采配が問われる。キャンプから取り組んできた広島対策は逆に完膚なきまでに粉砕された格好だ。

 A・カミネロ、S・マシソン、沢村拓一の抑えの方程式が崩壊。移籍組のA・ゲレーロや野上亮磨らの期待外れの働きなど誤算も続いた。それでもここまで来て泣き言は言っていられない。クライマックスシリーズ進出から、あわよくば日本一の道だってわずかな望みはまだある。残るは10試合。迷走する「由伸丸」の最終到着地はどこになるのか? せめて意地を見せてくれ。G党の悲痛な願いが聞こえてくる。


文=荒川和夫(あらかわ・かずお)
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