コラム 2018.09.20. 11:30

残り試合もあと僅か…生涯唯一の栄誉“新人王”は誰の手に!?

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印象度も得票数に影響!?


 残り試合数も20試合をきり、ペナントレースも大詰め。優勝やCSの出場権争いはもちろん、個人タイトルの争いにも注目が集まりはじめた。

 そして、ここにきて新人王争いが過熱している。全国の新聞、通信、放送各社のプロ野球担当を5年以上経験している記者の投票で決まる最優秀新人のタイトルは、明確な数字に加え、その印象度も重要になってくる。

 昨年のセ・リーグ新人王争いは、京田陽太(中日)が有効票数286票中、208票を得て新人王のタイトルを手にした一方、昨季の新人で唯一の二桁勝利を挙げた浜口遥大(DeNA)はわずか27票。シーズン終盤にレギュラーに定着した大山悠輔(阪神)が49票で上回るという意外な結果が出た。

 最優秀新人賞の有資格者は、支配下に登録されてから5年以内で、投手は一軍で30イニング以内、打者は一軍で60打席以内という規定があり、生涯に一度しか獲得のチャンスがない貴重なタイトル。誰がその栄誉を勝ち取るのか気になるところだ。


パ・リーグは混迷!?


 まずはパ・リーグの新人王候補たちから(※成績は9月19日終了時点)。

▼ パ・リーグ投手
・加治屋蓮(ソフトバンク/5年目)
 62試合(58回2/3)
 4勝1敗25H 防御率3.22

・山本由伸(オリックス/2年目)
 54試合(53回)
 4勝2敗1S32H 防御率2.89


▼ パ・リーグ野手
・田中和基(楽天/2年目)
 92試合 打率.278(370-103)
 18本塁打 40打点 21盗塁

・福田周平(オリックス/1年目)
 103試合 打率.269(260-70)
 0本塁打 13打点 16盗塁

・藤岡裕大(ロッテ/1年目)
 125試合 打率.238(471-112)
 5本塁打 40打点 14盗塁


 開幕スタメンを勝ち取り、ここまで全試合に出場するなどレギュラーに定着した藤岡裕大は、肝心の成績がいまひとつ。野手では、規定打席に到達した楽天の“新リードオフマン”田中和基の方に分がありそうだ。梨田昌孝前監督の置き土産のように一軍に定着すると、すぐにチームの起爆剤となり、平石洋介監督代行就任後の楽天でも活躍を続けている。

 しかし、田中以上に強力なのが、中継ぎで開幕からチームに貢献してきた高卒2年目の山本由伸。今年はオールスターにも出場するなど、華々しい舞台も経験してきた。ホールドポイントでも宮西(日本ハム)に3ポイント差と迫っており、タイトル獲得の可能性もある。19日の試合で今季最多の5失点を喫したが、指揮官からの信頼は揺るがず、今後も勝ちパターンを担っていく。

 また、投手では加治屋蓮がリーグトップタイの62試合に登板し、負傷者が続出したチーム状況下で獅子奮迅の活躍を披露。チームの順位や状況を加味すると印象度は高いが、果たして――。

 その他にも、オリックスの2年目・澤田圭佑が39試合に登板して3勝0敗6ホールド(防御率2.57)、先発では同じくオリックスの大卒1年目左腕の田嶋大樹(6勝3敗/防御率4.06)、西武のローテの一角を担う高卒2年目の今井達也(5勝4敗/防御率5.07)も有資格者だが、シーズンを通した貢献度や成績を加味すると、山本、加治屋、田中の3選手による争いが濃厚か。


東克樹の独走に待ったをかけるのは!?


 続いてセ・リーグの選手たちは以下のとおり。

▼ セ・リーグ投手
・東 克樹(DeNA/1年目)
22試合(142回)
11勝5敗 防御率2.54

・アドゥワ誠(広島/2年目)
47試合(61回2/3)
5勝2敗5H 防御率3.36

・中尾 輝(ヤクルト/2年目)
51試合(51回)
7勝3敗12H 防御率3.53

・鈴木博志(中日/1年目)
50試合(46回2/3)
4勝5敗4S12H 防御率3.86


▼ セ・リーグ野手
・吉川尚輝(巨人/2年目)
92試合 打率.253(316-80)
4本塁打 29打点 11盗塁

・神里和毅(DeNA/1年目)
86試合 打率.251(247-62)
5本塁打 21打点 15盗塁

 田中和基、藤岡裕大など野手の活躍が目立つパ・リーグに比べると、セ・リーグの打者たちの成績はやや寂しい。開幕時こそ、吉川尚輝や神里和毅らがスタメンに名を連ねていたが、ともに骨折のため戦線を離脱してしまったのが痛かった。必然的にセ・リーグの新人王は投手同士の争いとなりそうだ。

 その投手陣は、唯一の二桁勝利を挙げているDeNAのドラ1左腕・東克樹と首位を独走する広島のブルペンに定着したアドゥワ誠のマッチレースの様相。成績面を見れば、19日の試合で7回途中までパーフェクト投球を披露し、11勝目を挙げた東に分がありそうだが、首位を独走するチームでロングリリーフも辞さず投げ続けているアドゥワのチームに対する貢献度も高い。この2人に関しては、今後の活躍ぶりも重要になりそうだ。


文=福嶌弘(ふくしま・ひろし)


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