CS開幕が間近に!
10月9日に巨人の3位が確定し、今週末からはいよいよCS(クライマックスシリーズ)が幕を開ける。
2007年から導入され、現在ではすっかりおなじみとなっているCS。リーグ優勝チームに加え、2位と3位のチームでトーナメント方式のプレーオフを行うため、2位や3位のチームが優勝チームを倒して日本シリーズに駒を進める、いわゆる「下克上」がこれまでも何度か起こってきた。
ゲーム差が開いていればいるほど、当然、下克上の度合いも高くなる。セ・リーグでは、優勝した広島と3位・巨人のゲーム差は「13.5」で、巨人の勝率は5割を下回った。また、パ・リーグも優勝した西武と3位・日本ハムは「13.5」ゲーム差でフィニッシュした。
2位との差もセが「7」ゲームで、パは「6.5」ゲームと離れている、優勝チームが日本シリーズ進出を逃せば、なかなかの下剋上となりそうだが、過去のCSはどうだったのだろうか? そこで、下克上度合いを測るためにオリジナルの「下克上指数」を算出し、CSで優勝チーム以外が日本シリーズに進んだ際の「下克上度」を調べてみた。
下剋上指数
下克上指数は優勝チームとのゲーム差と貯金のあり・なしを基にしたもので、以下のようなルールで計算している。
▼ 貯金がある場合
・首位とのゲーム差そのまま
▼ 借金がある場合
・首位とのゲーム差に借金の数を加算
2位のチームの場合は「1.0」、3位の場合は「1.5」を掛ける。こうして導き出した数値を、下記の基準に当てはめ、下克上度合いを「A~E」の5段階で評価してみた。数値が大きければ大きいほど、下克上の度合いが高いことになる。
A:10.0以上
B:7.5~9.5
C:5.0~7.0
D:2.5~4.5
E:0.0~2.0
セントラル・リーグ
まずはセ・リーグから、下克上が起こったシーズンの下克上度合いを見てみよう。
▼ 2007年:下克上度【E】
優勝 巨人(80勝63敗1分)
2位 中日(78勝64敗2分)首位と1.5差
3位 阪神(74勝66敗4分)首位と4.5差
CS結果:2位中日が日本シリーズ進出 ⇒ 下克上指数「1.5」
▼ 2014年:下克上度【C】
優勝 巨人(82勝61敗1分)
2位 阪神(75勝68敗1分)首位と7.0差
3位 広島(74勝68敗2分)首位と7.5差
CS結果:2位阪神が日本シリーズ進出 ⇒ 下克上指数「7.0」
▼ 2017年:下克上度【A】
優勝 広島(88勝51敗4分)
2位 阪神(78勝61敗4分)首位と10.0差
3位 DeNA(73勝65敗5分)首位と14.5差
CS結果:3位DeNAが日本シリーズ進出 ⇒ 下克上指数「21.7」
過去12回行われたセ・リーグのCSで、リーグ優勝したチーム以外が日本シリーズに進出したのは3回。最も下克上度が大きかったのが2017年で、3位だったDeNAが阪神と広島を破り、日本シリーズに進出した。首位とのゲーム差は14.5で、3位からの躍進だったため下克上指数は「21.7」。このときDeNAは貯金が「8」あったが、優勝した広島は貯金37とぶっちぎり。そこまで差をつけながらも日本シリーズに進めなかったため、物議を醸した。
仮に2009年に3位ヤクルトが日本シリーズに進出していた場合、首位とのゲーム差は22.0、借金1で3位からの躍進のため、下克上指数は34.5と恐ろしいことになっていた。ちなみに借金ありの状態でCSに進出したのは、2013年の3位広島(借金3)と2016年の3位DeNA(借金2)の2例。そして2018シーズンも、巨人とDeNAのどちらが進出するにせよ、セ・リーグの3位は借金を抱えてのCS進出となる。
パシフィック・リーグ
続いてパ・リーグ。2004~06年までのパ・リーグは、プレーオフの勝者がリーグ1位という制度だったため、レギュラーシーズン終了時点の成績を元に算出した。
▼ 2004年:下克上度【D】
1位 ダイエー(77勝52敗4分)
2位 西 武 (74勝58敗4分)1位と4.5差
3位 日本ハム(66勝65敗2分)1位と7.5差
PO結果:2位西武が優勝し日本シリーズ進出 ⇒ 下克上指数「4.5」
▼ 2005年:下克上度【D】
1位 ソフトバンク(89勝45敗2分)
2位 ロッテ(84勝49敗3分)1位と4.5差
3位 西 武(67勝69敗0分)1位と18.5差
PO結果:2位ロッテが優勝し日本シリーズ進出 ⇒ 下克上指数「4.5」
▼ 2010年:下克上度【D】
優勝 ソフトバンク(76勝63敗5分)
2位 西 武(78勝65敗1分)首位と0.0差
3位 ロッテ(75勝67敗2分)首位と2.5差
CS結果:3位ロッテが日本シリーズ進出 ⇒ 下克上指数「3.7」
PO時代(2004~06年)は2年連続で下克上が起こったが、2005年までは、レギュラーシーズンで5ゲーム以上の差がついた場合にレギュラーシーズン1位チームに1勝のアドバンテージが与えられるというルールだったが、いずれも「4.5」差だったため、1勝のアドバンテージはなく、結果的に下剋上を許すことになった。そのため、2008年からはレギュラーシーズン1位チームに無条件で1勝のアドバンテージが与えられるようになり、現行制度の下で起こった下剋上は2010年の1度だけ。比較的すんなりと優勝チームが日本シリーズに進出している。
また、借金ありでポストシーズンに進んだ例は2005年の西武のみ。パ・リーグは毎年交流戦で勝ち星を積み重ねているため、3位のチームが借金持ちになることが少ない傾向にある。ちなみに、パ・リーグは勝ち上がった全てのチームが日本一になっており、セ・リーグは2007年の中日のみとなっている。
今シーズンはどうなる?
2018年シーズンは、9月27日に広島が球団史上初のリーグ3連覇を達成。ただ広島以外は軒並み調子が悪く、一時は広島以外が全て借金持ちという事態も起こったほど。交流戦で検討し、後半戦で巻き返した2位ヤクルトが貯金を作ったが、3位の巨人は借金「4」を抱えての3位フィニッシュ。巨人と広島のゲーム差は「13.5」となっているため、巨人が勝ち上がることになれば下克上指数は昨シーズン上回る「26.3」となる。
一方のパ・リーグも、3位の日本ハムが貯金8の13.5ゲーム差でフィニッシュ。こちらは貯金があるため下剋上指数は「20.3」でこちらもA判定だ。
▼ 2018年:セ・リーグ
優勝 広 島(82勝59敗2分)
2位 ヤクルト(75勝66敗2分)首位と7.0差
3位 巨 人(67勝71敗5分)首位と13.5差
・ヤクルトの下剋上指数「7.0」=【C】
・巨人の下克上指数「26.3」=【A】
▼ 2018年:パ・リーグ
優勝 西 武 (88勝53敗2分)
2位 ソフトバンク(82勝60敗1分)首位と6.5差
3位 日本ハム (74勝66敗3分)首位と13.5差
・ソフトバンクの下剋上指数「6.5」=【C】
・日本ハムの下克上指数「19.5」=【A】
下位チームが上位を破る下克上は、快進撃を続けるチームのファンなら最高に楽しめるもの。しかしぶっちり切りで優勝したのに日本シリーズに進めなかったり、借金のあるチームが勝ち上がったりしてしまうと、不満を覚えるファンも出てくるだろう。現在は上位チームに1勝のアドバンテージが与えられているが、今年の結果次第では、ゲーム差によって追加アドバンテージを増やすなど、新たな優遇策の必要性がでてくることになるかもしれない。
文=中田ボンベ(dcp)