CS・MVPの勲章を引っ提げて地元へ…
10月27日(土)に開幕する日本シリーズ。セ・リーグを3連覇し、34年ぶりの日本一を目指す広島東洋カープが、パ・リーグのレギュラーシーズン2位から頂点を目指す福岡ソフトバンクホークスを本拠地・マツダスタジアムで迎え撃つ。
ソフトバンクにとっては敵地での開幕となるが、この男にとっては慣れ親しんだ故郷での初戦となる。広島出身で、子供の頃は大のカープファンだったという柳田悠岐だ。
西武とのCSファイナルステージでは、4番・柳田のバットがチームを2年連続18度目の日本シリーズ進出へと導いた。ファーストステージでは打率.111と苦しんだ主砲だったが、大一番で本来の力を取り戻している。
圧巻は第4戦の先制2ランだった。初回、西武の先発・今井達也の外角高めの速球を捉えると、打球は逆方向へ高々と舞い上がりそのまま左翼スタンドへ。滞空時間の長い弧を描いて着弾した。
翌日の第5戦では、6回にウルフから右中間へのソロ本塁打を放ち、2試合連続のアーチ。ファイナルステージで打率.450、2本塁打、8打点で見事MVPを獲得。ヒーローインタビューでは「あと4つ勝ちます」と、日本シリーズ制覇を宣言した。
昨年の日本シリーズでは1番打者を務めた柳田。初戦から3戦連続で初回先頭打者安打を放ち、先制のホームを踏む活躍をみせた。6得点を記録し、打率.320、4打点の活躍で優秀選手賞にも輝いている。今年の日本シリーズは“地元凱旋”となるだけに、さらなる大暴れが期待される。
レギュラーシーズンも申し分のない成績
レギュラーシーズンでは打率.352で首位打者を獲得した柳田。出塁率は.431で、最高出塁率のタイトルも獲得した。さらに、得点圏打率はリーグ1位の.389と勝負強さも発揮している。
加えて36本塁打も西武・山川穂高に次ぐリーグ2位の数字で、2年連続で30本塁打をマーク。盗塁は21個と2度目のトリプルスリー獲得はならなかったが、総合力で高いレベルの打者であることは誰もが認めるところだ。
そんな柳田の凄さを物語るもう一つの指標が「OPS」だ。出塁率と長打率を足したこの数値で10割を超えることが、一流打者の証とされる。柳田のOPSは1.092で、リーグ唯一の10割超えとなっている。
ここまで申し分のない成績を残してきた柳田だが、最後に「日本球界最高峰」の舞台が待っている――。
南海やダイエーの時代を含めても、ホークスとカープが日本シリーズで相まみえるのは初めてとなる。平成最後の日本シリーズで実現した、鷹と鯉の初対戦…。これまで日本シリーズを振り返ってみても、初戦を取ったチームの勝率は6割以上とされているだけに、やはり第1戦をものにすることが、日本一へ大きく前進することになる。
カープファンで真っ赤に染まったマツダスタジアムで、“ギータ”が先手必勝の一打を放つことができるだろうか。
文=別府勉(べっぷ・つとむ)