ボクたちにはMLBが必要なんだ! ~第7回~
MLBの2018年シーズンが閉幕。今年は開幕当初から前評判の高かったレッドソックスがポストシーズンも順調に勝ち進み、ドジャースを圧倒する形でワールドシリーズを勝ち抜け、5年ぶりの世界一に輝きました。
数少ない弱点とされていた中継ぎ陣も、先発からブルペンにまわり大車輪の活躍を見せたネイサン・イオバルディを始め、全員が集中してしっかり抑え、付け入る隙を与えませんでした。もちろん、打線の方も絶不調になる選手が皆無で、どこからでも点を取れたというのは大きかったと思います。
シーズン終了ということは、同時に“来シーズンの始まり”でもあります。史上例を見ない程に動きが遅かった昨シーズンのオフに比べ、今オフはブライス・ハーパー(ナショナルズ)、マニー・マチャド(ドジャース)を筆頭に有力選手がひしめき、活発化することが予想されます。
また、日本人では菊池雄星(西武)も貴重な先発左腕として争奪戦となる可能性が高いと思われます。特にワールドシリーズを戦ったレッドソックスとドジャースは両チームとも7人がFAとなるだけに、戦力分布図も来シーズン開幕までにガラっと変わることになるでしょう。
MLBがやってくる!ヤァ!ヤァ!ヤァ!
さてさて、今年は4年ぶりに日米野球が開催されます。
残念ながらナ・リーグ首位打者で“ほぼ三冠王”の活躍を見せたクリスチャン・イエリチ(ブリュワーズ)は出場辞退になってしまいましたが、今回の顔ぶれを見てみると、特に野手陣は「いま観ておいて絶対損はない」レベルの若手が多め。逆に投手陣に関しては、「この投手陣を打ち崩さない限りはWBC王座奪還など夢のまた夢」というくらいかと思われます。
今回は、その中からボクが注目する選手をご紹介致します。
▼ ヤディエル・モリーナ(捕手/カージナルス)
カージナルス一筋15年、将来の殿堂入り候補。2020年限りでの引退を表明しているものの、今季は20本塁打(キャリア2位)、35歳以上の捕手では史上最長となる27試合連続出場を果たすなど、まだまだ元気いっぱい。昨年からU-23プエルトリコ代表の監督も務めており(10月のU-23ワールドカップにも参加)、今回は日本代表に関するデータ収集も兼ねてプレーするのでは……と睨んでます。
▼ ロナルド・アクーニャ Jr.(外野手/ブレーブス)
大谷翔平と並ぶ2018年の超有望株5ツール・プレイヤーとしてデビュー。その実力は本物でした。5試合連続本塁打、球団記録となる年間8本の先頭打者本塁打、地区シリーズでポストシーズン史上最年少で満塁本塁打を放ち、今季のナ・リーグ新人王候補の筆頭。彼の父、そして祖父もマイナー経験のある元野球選手で、親戚には何と5名もMLB経験者がいるサラブレッド。
▼ フアン・ソト(外野手/ナショナルズ)
そのロナルド・アクーニャと新人王争いを演じ、“MLB史上最高のティーン・エイジャー”とまで語られるほどに大活躍。10月に20歳になったばかり。今季は1Aから2Aを経て、飛び級で5月20日にMLB昇格。打率.292、22本塁打、OPS.923は300打席以上の10代選手の中で歴代ベスト。更に選球眼も素晴らしく、BB%(打席に占める四球の割合)はリーグ7位でした。
▼ リース・ホスキンス(外野手/フィリーズ)
昨年8月にMLBデビューを果たすと、MLB史上最速となるデビュー17試合で2ケタ本塁打到達の快挙を達成。昨年までの低迷から抜け出し、今季はシーズン終盤まで優勝争いを演じたフィリーズの中心選手として活躍しました。オールスターではホームランダービーにも出場し、準決勝進出。本人曰くそれがきっかけで調子を取り戻したらしく、後半戦で20本塁打を量産。
▼ クリス・テーラー(内野手/ドジャース)
2016年途中にドジャースへ移籍すると、ジャスティン・ターナーの勧めでフライ打法を習得。打撃が開眼しました。昨年のナ・リーグ優勝決定シリーズMVP。今季のナ・リーグ優勝決定シリーズ第7戦でクリスチャン・イエリチがレフトに放った大飛球をスーパーキャッチしたのは記憶に新しい。元々はセンターだがレフト、そしてショートを中心に内野もどこでも守れるユーティリティープレイヤー。
▼ コリン・マキュー(中継ぎ/アストロズ)
今回の投手陣は正直”オールスター”ではないのかも……という印象ですが、前田健太(ドジャース)、キルビー・イエーツ(パドレス)、そしてこのマキューは別。2015年は先発で19勝、昨年は世界一も経験。今季は先発ローテから押し出される形でブルペンに配置転換されたものの、58試合で防御率1.99。前の投手から引き継いだ15走者も2人しか生還させなかったなど素晴らしい活躍でした。
▼ ダニエル・ノリス(先発/タイガース)
今季は早々にDL入りし不本意な成績。しかし、登板機会を求めて今冬はドミニカのウインター・リーグにも参加が決定。今回の日米野球参加も登板機会を求めてなのでしょう。彼はオフとキャンプ期間は愛車の1978年型フォルクスワーゲン・バスに生活の一切を詰め込んでそこに住み、サーフィンやアウトドアを愛し、ミニマルな生活を実践していることでも有名。Instagramも超お洒落!
文=オカモト“MOBY”タクヤ(おかもと・もびー・たくや)