コラム

清宮幸太郎、怪物ロードの第2章

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日本ハムの清宮幸太郎

白球つれづれ2018~第37回・黄金ルーキーの1年


160打数32安打、打率.200、7本塁打、18打点
163打数31安打、打率.161、7本塁打、25打点

 これは何の数字か、わかるだろうか? 上段が清宮幸太郎の今季打撃成績。下段が王貞治のプロ1年目に残した数字である。打数から安打数に本塁打数まで酷似している。わずかに打率で清宮、打点で王に軍配はあがるが、仮に日本ハムの指揮官・栗山英樹が王を意識して清宮の起用法を決めたとしてもここまで数字が近づくのは珍しい。ちなみに三振の数は清宮「60」に対して王は「72」。こちらも早実高先輩の後を追っている。

 7球団が競合した「清宮ドラフト」から1年が経つ。世の興味は次なる金の卵に移り、根尾昂(中日)藤原恭大(ロッテ)小園海斗(広島)ら高校生野手が人気を集め、甲子園の新アイドル・吉田輝星は日本ハムが指名して清宮の僚友となることが決まった。

 まだ、入団も正式決定していない段階から仰天プランを打ち出したのは沖縄・国頭村の村長である宮城久和。来春の二軍キャンプではブルペンに吉田が入った時にファンが見やすいよう「輝星シート」を新設するプランを打ち上げたのだ。昨秋の清宮入団時には総工費1億円をかけてウェート用の「清宮ルーム」建設を明言、こちらは20年1月に完成予定だと言う。相次ぐ大物人気ルーキーの入団は沖縄経済にまで影響を与えているようだ。

 その沖縄で清宮の2年目が本格スタートした。10月31日にスタートした秋季キャンプは今月13日まで。野球漬けの濃密な日々が続いている。圧倒的な飛距離を誇る打撃は文句なしに魅力十分。来季こそレギュラー定着にクリーンアップを任されても不思議ではないが、現状は守る場所が定まっていない。


守備力強化が出場機会増のカギ


 本職の「一塁」には主砲の中田翔がいる。昨年からFA流失も囁かれているがチームとしては残留要請の方向で、その去就は不透明。次のポジションは「指名打者」で、ここは外国人選手や近藤健介らとの兼ね合いも出てくる。今季はアルシアが最多の66試合に指名打者で先発し、近藤が32試合、清宮が26試合だった。アルシアの今季限りでの退団は決まっているが新外国人が加入する可能性も考えられる。そこで首脳陣は清宮に外野への挑戦を選択肢の1つとして提示。今季も左翼手として11試合に先発出場したが、右肘を痛めて以降は左翼の守備についていなかった。

 プロ入り直後に痛めた右肘が53試合の出場に留まった主因でもある。シーズン終盤になってもスローイングの矯正は続いた。この不安を取り除いて左翼手としてプレーすることが来季飛躍の大きな鍵と言ってもいい。とはいえ、日ハムの外野陣は西川遥輝、大田泰示、近藤健介、松本剛、浅間大基など強力で、この一角を崩すにはアーチ量産が絶対条件となる。指揮官の栗山の頭には、豊富な外野手の中から大田や近藤をコンバートするプランもあるようだが、これも清宮がレギュラーに定着出来たなら、の話になるだろう。

 一見、物足りない数字に映る1年目の成績だが、冒頭の王との比較でも悲観するほどのことはない。その王はプロ4年目に38本の本塁打を量産して「世界のホームラン王」を本格スタートさせた。筒香嘉智(DeNA)や中田翔らの高卒野手が威力を発揮しだしたのだって4~5年かかっている。

 将来的にはメジャー挑戦の夢を語り、王の持つ868本のホームラン世界記録更新を狙いたいと目を輝かせた入団発表から1年。現在地は未完の大器でも無限の可能性は残されている。西武、ソフトバンクらの強豪を打ち破るには清宮のアーチが必要となる。すでに勝負の2年目は始まっている。


文=荒川和夫(あらかわ・かずお)
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