コラム

捨てる神あれば拾う神あり…今年は13日にトライアウト

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阪神時代の西岡剛内野手(C)KYODO NEWS IMAGES

合同トライアウトは本当に宝の山なのか


 11月13日、12球団合同トライアウトが開催される。今年は、西岡剛(阪神)や成瀬善久(ヤクルト)らのかつてのタイトルホルダーをはじめ、若松駿太(中日)や中井大介(巨人)など数年前まで期待のホープとして活躍していた選手まで揃い、計47名の選手がタマスタ筑後に集まる。

 かつて中日のGMを務めていた頃、落合博満氏が「宝の山」と評した12球団合同トライアウト。その歴史は2001年からはじまり、今年で18年を迎える。かつては2回行われていたが、2015年からは1日限りの開催となった。

 毎年50人前後の選手が参加しているが、合格率が1割にも満たない年もある狭き門だ。一度は戦力外になった選手たちだけに、厳しい評価となりがちだが、そんな狭き門をくぐった選手たちとは? そしてトライアウトを有効に活用しているチームはあるのだろうか。


数ではホークスも…


 これまでに、12球団合同トライアウトを受けて合格した選手たちを球団別まとめると、以下のようになる。まずはパ・リーグの各球団から。

▼ 西 武(4名)
富岡久貴(2004年:元横浜)
谷中真二(2007年:元楽天)
三浦 貴(2007年:元巨人)
荒川雄太(2010年:元ソフトバンク)

▼ ソフトバンク(9名)
※ダイエー時代を含む
井出竜也(2004年:元巨人)
大西正樹(2008年:再契約)※育成契約
大西宏明(2010年:元横浜)※育成契約
大立恭平(2012年:元巨人)※育成契約
蕭 一傑(2012年:元阪神)※育成契約
柴田亮輔(2012年:元オリックス)※育成契約
勧野甲輝(2013年:元楽天)※育成契約
細山田武史(2013年:元DeNA)※育成契約
松冨 倫(2013年:元巨人)※育成契約

▼ 日本ハム(2名)
多田野数人(2010年:再契約)
紺田敏正 (2011年:元巨人)

▼ オリックス(2名)
小林雅英(2010年:元巨人)
田中大輔(2014年:元中日)

▼ ロッテ(5名)
代田建紀(2004年:再入団)
林 孝哉(2004年:元日本ハム)
田中瑞季(2005年:元ソフトバンク)
定岡卓摩(2006年:元ソフトバンク)
柴田講平(2016年:元阪神)

▼ 楽 天(8名)
野村克則(2004年:元巨人)
小倉 恒(2005年:再契約)
石川 賢(2007年:元中日)
加藤大輔(2011年:元オリックス)
星野智樹(2012年:元西武)
有馬 翔(2013年:元ソフトバンク)※育成契約
梅津智弘(2014年:元広島)
久保裕也(2016年:元DeNA)

 パ・リーグでもっともトライアウトを活用して選手を獲得していたのは、球界随一の資金力を誇るソフトバンク。このなかには入れていないが、2003年にトライアウト後に行ったテストで入団した宮地克彦が、2005年のベストナインに輝いたこともある。

 実績のある選手はもちろん、他球団では目が出なかった若手選手ばかりを拾い上げているが、そのほとんどは育成契約。実際に一軍で起用されたのは井出竜也と細山田武史だけで、両者とも1年限りで退団。近年はドラフトで育成選手を獲得し、そこからチームの主力選手も輩出しており、トライアウトでの獲得は2014年以降していない。

 一方、戦力として活躍した選手をゲットできたのはロッテと楽天くらいか。ロッテの場合は2003年に自由契約にした代田建紀を異例の再契約で入団させると、その後4シーズン代走のスペシャリストとして起用されて、引退後にはコーチに就任した。

 楽天は、野村克也氏の要望でトライアウト後に再契約した小倉恒が2006年には中継ぎ・抑えで奮闘してチーム最多の58試合に登板し、6勝7敗4セーブ、防御率2.18という好成績を残した。他にも1年限りではあったが、加藤大輔が2012年に敗戦処理やロングリリーフを中心に35試合を投げて復活を果たしている。


ヤクルトは再生工場!?


 続いて、セ・リーグ各チームの例を見てみよう。

▼ 広 島(2名)
福井敬治(2004年:元巨人)
佐藤祥万(2014年:元日本ハム)

▼ ヤクルト(14名)
宇野雅美(2004年:元広島)※社会人野球経由
三沢興一(2004年:元巨人)
遠藤政隆(2006年:元中日)
萩原 淳(2007年:元日本ハム)
斉藤宜之(2007年:元巨人)
ユウキ (2008年:元オリックス)※育成契約
森岡良介(2008年:元中日)
吉本 亮(2008年:元ソフトバンク)
阿部健太(2011年:元阪神)
木下達生(2011年:元中日)
井野 卓(2014年:元巨人)
鵜久森淳志(2015年:元日本ハム)
榎本 葵(2016年:元楽天)
田代将太郎(2017年:元西武)

▼ 巨 人(4名)
中谷 仁(2011年:元楽天)
石井義人(2011年:元西武)
小林高也(2011年:元中日)※育成契約
ウーゴ(2015年:元ヤクルト)※育成契約

▼ DeNA(5名)
※横浜ベイスターズ時代を含む
吉田好太(2001年:元近鉄)
小関竜也(2007年:元巨人)
斉藤秀光(2007年:元ソフトバンク)
東野 峻(2014年:元オリックス)
白根尚貴(2015年:元ソフトバンク)

▼ 中 日(2名)
三沢興一(2006年:元ヤクルト)
八木智哉(2014年:元オリックス)

阪 神(5名)
中村泰広(2008年:元日本ハム)※育成契約
西谷尚徳(2009年:元楽天)※育成契約
林 啓介(2012年:元ロッテ)※育成契約
森越祐人(2014年:元中日)
山崎憲晴(2017年:元DeNA)

 冒頭に記した「宝の山」と評した落合博満が率いた中日が2名のみという少し意外な結果が出ているなかで目を引くのが、かつて“野村再生工場”があったヤクルトだ。

 遠藤政隆、萩原淳は中継ぎとしてブルペンを支え、育成契約だったユウキも翌2009年にはすぐに支配下に入り先発ローテーションに定着。同年のトライアウトで獲得した森岡良介に至っては準レギュラーとして8年もチームに在籍し、2014年には選手会長を務めるまでに出世した。現在でも、井野卓、田代将太郎らがバイプレーヤーとしてチームを支えている。

 こうしてこれまでの選手たちを振り開けると、投手は中継ぎやロングリリーフでブルペンを支えられるタイプが多く、野手は打撃面よりも守備や走塁などで一芸に秀でた選手が息を吹き返す傾向にある。果たして、今年のトライアウト受験者から何名が再びNPBのユニフォームに袖を通すことになるのか。大いに注目したいところだ。


文=福嶌弘(ふくしま・ひろし)
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