与四球率の悪化と魔の5回
優勝請負人としてシカゴ・カブスと6年1億2600万ドル(当時のレートで約137億円)という超大型契約を結び迎えた2018年シーズン。移籍1年目は、ダルビッシュ有にとって自己ワーストの1年となってしまった。
2017年はレンジャーズとドジャースで合わせて10勝12敗。故障明け3年目となった今季はエースとして15勝以上が期待されたが、蓋を開けてみると開幕から不安定な投球が続き、好投すれば打線の援護に恵まれないなど、白星をつかめない試合が続いた。開幕8試合目の登板(5月20日)でようやく初勝利を手にしたが、皮肉にもその試合がシーズンの最終登板となってしまう。
シーズン成績は1勝3敗、防御率4.95。被本塁打率(被本塁打/9回=1.58)、与四球率(与四球/9回=4.73)ともに自己ワーストを更新したが、奪三振率は前年の「10.08」から「11.03」に向上するなど、決して衰えを見せてはいない。
特に悪かったのは“対左打者の成績”だ。被打率は「.276」で、右打者を「.195」に抑え込んでいただけに、左打者への対策は今後に向けた課題の1つとなるだろう。
また、得点圏被打率は前年の「.216」から「.333」に大きく悪化。四球を連発し、タイムリーを打たれるという悪循環に陥る場面が目立った。今季を含めてもメジャーでの通算得点圏被打率は「.195」と、本来はピンチの場面で真骨頂を見せる投手だ。
今季のダルビッシュを象徴したのが、勝利投手の権利を目前に降板するパターンが多かったこと。まさに“魔の5回”にとりつかれたようなシーズンだった。1回から4回までの合計32イニングでは自責点8(防御率2.25)だったが、5回は合計5イニングで自責点は「14」(防御率25.20)にも上る。“魔の5回”を払しょくできるかは、来季の見どころの1つとなるだろう。
大型契約を結んだ1年目を僅か1勝で終えただけに、地元カブスファンからも厳しい目で見られるのは必至。まずはしっかり故障を癒やし、来季は万全の状態で開幕から白星を重ねてもらいたいところだ。
▼ ダルビッシュ有
生年月日:1986年8月16日(32歳)
身長体重:196センチ/98キロ
投 打:右投右打
守備位置:投手
経 歴:東北高-日本ハム(04年D1)-レンジャーズ-ドジャース-レンジャーズ-カブス
<成 績(今季/通算)>
登板数:8試合/139試合
投球回:40回/872.1回
勝利数:1勝/57勝
敗戦数:3敗/45敗
防御率:4.95/3.49
奪三振:49個/1070個
WHIP :1.43/1.19
文=八木遊(やぎ・ゆう)