計8人を起用…固定できなかった「二塁」問題
昨年はレギュラーシーズン3位からクライマックスシリーズ(CS)を突破し、日本シリーズまで駒を進めたDeNA。オフには二遊間の守備力向上を目的に大和を補強するなど積極的に動き、悲願のリーグ優勝からの日本シリーズ出場を目指して2018年シーズンに挑んでいた。
ところが、結果はリーグ4位。日本シリーズどころかCSにも出場することができなかった。シーズン通してケガ人が続出した不運はあったものの、課題として浮かび上がったのが「最後まで二遊間を固定できなかった」という点だ。
特に二塁は、柴田竜拓の65試合というのが最多出場。以下は倉本寿彦(58試合)、石川雄洋(34試合)、ソト(25試合)、山下幸輝(18試合)、田中浩康(12試合)、宮本秀明(10試合)、大和(2試合)と続き、一軍だけで計8選手を起用した。
その状況を打破すべく、今年のドラフトでは即戦力候補として伊藤裕季也(立正大)を2位で獲得。期待のルーキーはドラフト後に行われた秋の明治神宮大会で打率.500、2本塁打、4打点と大暴れ。1年目からの活躍に大きな期待がかかっている。また、巨人から戦力外通告を受けていた中井大介を獲得するなど、着々と弱点の克服に向けて動きを見せている。
現時点で、伊藤は二塁での起用が濃厚だ。一方の中井は右の代打としての期待が大きいとみられるものの、内・外野で複数ポジションを守れるのは魅力。二塁のレギュラー争いという点でも面白い存在となりそうだ。
チーム全体でポジション争いが激化
昨季は8人もの選手が守った二塁のポジションに、伊藤や中井といった新戦力が加入。競争はさらに激化することだろう。そのなかから確固たるレギュラーが生まれれば、遊撃を守る大和との二遊間コンビを結成することができ、センターラインのしっかりとした軸が固定される。
他のチームを見ても、重要なポジションである二遊間は固定を基本としている。広島は菊池涼介と田中広輔、ヤクルトは山田哲人と西浦直亨、巨人は二塁の吉川尚輝が離脱したものの、遊撃の坂本勇人は固定されている。このように、セ・リーグ上位3チームの二遊間はほぼ固定されており、吉川尚を除き全員が規定打席にも到達しているのだ。
新戦力含めた争いのなかから二塁を固定できれば、その他のポジションでも競争が生まれることになる。今季は二塁での起用が25試合あったソトだが、二塁がしっかりと埋まれば右翼が主戦場となるだろう。右翼は今シーズン途中に怪我で離脱した梶谷隆幸と神里和毅、さらには若手有望株の細川成也もレギュラー争いに名乗りを挙げている。来日1年目で本塁打王という実績を残したソトではあるが、各選手ともに打者としてのタイプが異なるため、ラミレス監督がどのように起用していくのか注目が集まる。
一塁は主軸であるロペスと再契約済みだが、今季は故障もあって110試合の出場にとどまった。中心選手として攻守ともに好成績を残しているのは事実だが、来年で35歳を迎えるシーズンということもある。年齢的にはベテランに差しかかるだけに、フル出場を望むのは酷かもしれない。ロペス不在時には、ソトを一塁として起用するオプションも想定されるはずだ。
このように、二塁のレギュラーを固定できれば、今シーズンの本塁打王ソトが右翼もしくは一塁で起用されることになり、守備の負担は減る。さらには、その他の選手の起用法も変わってくることになる。各ポジションで激しい競争が起これば、当然チームの底上げにもつながっていく。
アレックス・ラミレス監督も4年目のシーズンとなり、勝負の年を迎える。野手陣の競争を激化させることで、上位浮上を目指したい。