深まるチームとファンの一体感
オリックスは11月2日から同17日にかけて高知市東部野球場で秋季キャンプを行った。
西村徳文新監督になって初のキャンプには、34名の選手が参加。猛練習に励む選手の姿を見ようと、高知市東部野球場には沢山のファンが訪れ、選手たちとの交流を深めている姿が印象的だった。
連日、お昼に監督と選手が実施していたサイン会は、球団からの“依頼”ではなく、新指揮官の“発案”によるもの。サイン会に登場する選手が誰になるのかは、選手による当日の場内アナウンスで判明するというユニークな企画だ。
監督のそういったファンサービスに対する姿勢は、選手たちにも影響を与えていた。10日の夕方に行われた、この日2度目のサイン会では、T-岡田と安達了一が自身の背番号にちなんで3番目と55番目に並んでいたファンにサイン入りバットをプレゼントしていた。両選手による突然のサプライズにファンは、驚きながらも「今日来て本当に良かった~」と満面の笑み。バットをもらったファンはもう、何があっても彼らのことを応援し、ファンで居続けることだろう。
森川秀樹広報部長は「毎日のサイン会では時間制限や先着順などがあり、全員にサインをしてあげられないことも多かったのですが、サインをもらうことができなかったファンに対して、ほかの選手が自主的にサインを行うなど結果的にはファンとの触れ合いの時間が長くなっている。その努力が実り、今年は通常の倍以上のファンが来場してくれました。売店で販売されている色紙やボールがキャンプ2日目に完売したんです。こんな事は初めて」と今キャンプを振り返り、その影響力の大きさに驚きを隠せない様子だった。
率先してファンサービスを行っていた山岡泰輔も「サインに関しては時間のある限り応えたいし写真も撮ります。球場に来てくれる人が全員ファンだと思って対応しますし、練習が終わるまで待ってくれている人にはよりそういう気持ちが強い」と歓迎したが、その一方で「最近は何度もサインに並ぶ人がいる。僕らは意外と顔を覚えています。サインが欲しいという気持ちは嬉しいけど、一人でも多くのファンにサインをしてあげたいので、最低限のマナーとモラルを守ってもらえれば有難いです」と語っていた。
25日には『Bsファンフェスタ』が京セラドームで行われるが、秋季キャンプを訪れることができなかったファンも、そこで新たなオリックスを感じることができるかもしれない。もちろんオフシーズンには、トークショーなど様々な企画も用意されている。“ファンとともに闘う”ロッテでプロ野球生活を送ってきた新指揮官のもと、チームとファンも良い関係性を構築していくことができれば、自ずと一体感は深まるはずだ。
取材・文=中村実愛