新ウイニングショットに手応え
今季もナ・リーグ優勝を味わい、2年連続でワールドシリーズを経験した初の日本人選手となったロサンゼルス・ドジャースの前田健太。しかし、前田自身にとってはメジャー3年目にして初めて1ケタ勝利に終わるなど、やや悔いの残るシーズンとなった。
チーム事情もあって、今季もシーズン終盤はリリーフに回った前田。成績は39試合(うち20試合が先発)、8勝10敗2セーブ、5ホールド、防御率3.81だった。
防御率は先発登板時が「3.85」、救援登板時が「3.57」と大きく変わらなかった。ただし奪三振率は先発時「10.6」に対し、救援時は「13.2」と後者が大きく上回った。ドジャースにいる限り、シーズン当初は先発を任されても、シーズン後半は救援に回るというサイクルが定着するかもしれない。
今季の前田を振り返って顕著だったのは捕手別の成績だ。今季のドジャースは、ヤスマニ・グランダルが正捕手を務めた。前田もグランダルとバッテリーを組む機会が多く、39試合のうち27試合がグランダルとのコンビだった。ところがグランダル捕手時の防御率は4.58。控え捕手のオースティン・バーンズと組んだ12試合は防御率2.31と捕手によって大きな差があった。FAのグランダルは流出が濃厚のため、チームが新たな正捕手候補を獲得しなければ来季はバーンズと組む機会が増えるだろう。
今季の前田を振り返ると、球種別の投球割合に大きな変化があった。野球データサイトの『Fangraphs』によると、前田の過去2年のチェンジアップの割合は16年が「10.4%」、17年が「9.0%」で推移していたが、今季は「15.2%」に増えた。またチェンジアップ投球時の被打率も昨季の「.275」から「.146」に良化。今季から握り方を変えたチェンジアップがウイニングショットとして定着したと言えるだろう。
一方でストレートの被打率は昨季の「.226」から今季は「.287」に悪化してしまった。あくまでも投球の主軸は、全投球の40%を超えるストレートだ。まずはストレートのクオリティーを上げることを最優先に考えて来季に臨みたい。
▼ 前田健太
生年月日:1988年4月11日(30歳)
身長体重:185センチ/79キロ
投 打:右投右打
守備位置:投手
<今季成績>
登板数:39試合(先発20試合)
投球回:125.1回
勝利数:8勝
敗戦数:10敗
セーブ:2
ホールド:5
防御率:3.81
奪三振:153個
奪三振率:10.99
文=八木遊(やぎ・ゆう)