コラム

イチローが持つ“ひそかな大記録”とは…

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マリナーズのイチロー

来季開幕戦で凱旋?


 来年のメジャーリーグは、7年ぶりに日本で開幕戦が行われる。ア・リーグ西地区のシアトル・マリナーズとオークランド・アスレチックスが来日するが、注目は何と言ってもイチローの凱旋だ。

 日本が世界に誇る安打製造機も45歳。今季は古巣・マリナーズに復帰するも5月2日を最後にメジャーでの出場はなく、会長付特別補佐としてチームに残るという決断を下した。来季の開幕戦はイチローの雄姿を目に焼き付ける最後のチャンスとなるかもしれない。


イチローの隠れた大記録


 オリックス時代には7年連続首位打者という大偉業を達成。メジャーでも2度の首位打者に輝き、日米通算4367安打を放つなど、これまでは「打率」や「安打数」が常に注目されてきた。

 そんなイチローがメジャーで獲得した主要タイトルを見てみると、ルーキーイヤーの2001年に首位打者と同時に盗塁王にも輝いている。イチローのメジャー通算盗塁数は509で、盗塁王が1度だけというのは意外に感じるだろう。しかし、公式的な記録ではないが、2006年には盗塁成功率の部門でア・リーグ1位に輝いている。

 その年のイチローは、47度の盗塁企図に対して成功が45回、失敗は僅かに2回だけ。盗塁成功率は異次元の95.8%だった。ちなみに、その年のア・リーグ盗塁王は58個を成功させたカール・クロフォード(レイズ)で、イチローは13個差の3位タイに終わった。


 話を盗塁成功率に戻そう。2006年にイチローがマークした95.8%という盗塁成功率は、記録が残る1951年以降に限定すると、シーズン40盗塁以上を決めた選手の中では史上1位である。その年のイチローは盗塁の精度という点で神がかっていたことがわかる。

 2度の盗塁失敗を振り返ってみると、1度目は4月13日のインディアンス戦で二盗を成功させた直後に三盗を試みたが、捕手のビクター・マルティネスに刺されている。今季まで現役だったマルティネスはそのシーズン、メジャーワーストの100盗塁を許し、盗塁阻止率も18.0%という“最も走られやすい”捕手の一人だった。

 2度目の失敗は、6日後の4月19日のレンジャーズ戦。この試合では、その年に45.7%という高い盗塁阻止率を記録したジェラルド・レアードに二盗を阻止された。しかし、レアードに盗塁を刺されて以降は、39個の盗塁を連続で成功させシーズンを終えた。


 イチローは、翌2007年も開幕から6つの盗塁を成功。記録が止まったのは、5月17日のエンゼルス戦。この試合でホセ・モリーナに1年1カ月ぶりに二盗を阻まれ、連続盗塁成功記録は自己ベストの45でストップとなった。ちなみに、その時の投手は今なお現役のバートロ・コロンだった。

 イチローがマークした「45連続盗塁成功」は、1988年から89年にかけてビンス・コールマン(カージナルス)が樹立した「50」に次ぐ歴代2位の大記録でもある。

 2006年の「95.8%」という盗塁成功率と、07年にかけて記録した「45連続盗塁成功」は、日米で数々の偉業を達成したイチローにとって最も誇れる“隠れた大記録”ではないだろうか。


文=八木遊(やぎ・ゆう)

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