コラム 2018.12.31. 10:30

オリックスのスカウトグループ長がドラフトを採点「将来性を重視した」

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新入団のルーキーは8名


 ドラフト会議から早くも2カ月が経過。12月15日には、大阪市内のホテルで『新人選手入団発表会見』が開かれ、育成を含む8名のルーキーたちが、湊通夫球団社長や西村徳文監督とともに登壇し、約200名のファンと家族、そして約50名の報道陣を前にプロ野球への思いや意気込みを語った。

 カメラマンの間からは「今年は少ないねぇ」といった声が漏れていたが、それもそのはず。昨年は12名(支配下8名と育成4名)、2016年は14名(支配下9名と育成5名)を指名していた。また、今年のドラフトは指名人数の他にも、ここ数年では見られない変化がある。後藤駿太以来、8年ぶりに高校生を1位指名したことと、1位と2位ともに野手を指名したことだ。

 オリックスが最初に指名したのは、今回のドラフトで競合の可能性が高いと見られていた目玉選手の一人、報徳学園高の小園海斗選手だった。しかし小園は抽選の末に広島へ。すると、天理高の太田椋選手を単独指名。高卒の内野手に目をつけ、父が一軍のバッティングピッチャーを務めている太田との交渉権を手にした。


安達の後釜候補


 近年にはなかったドラフト戦略について、オリックスの中川隆治アマスカウトグループ長は次のように振り返る。

「現場からのリクエストもあって、将来性があるショートストップが欲しかった。センターラインの強化はウチにとって大きな課題。太田は右投げ右打ちで、サイズもある。逆方向にも打てる。あとは守備力が素晴らしい。肩が強いのでスローイングも速いし、ハンドリングも柔らかい。ケガをしたという話も聞いたことがない」

 球界屈指のショートストップである安達了一も来年の1月で31歳になる。今後を見据えたときに、安達が万全である今のうちに後継者を育てておきたいということだろう。中川スカウトグループ長は、「本人も話していた通り、3番ショート…巨人の坂本勇人選手のような存在になれる可能性はあります」と期待を寄せる。

 一方、2位で指名したのは、侍ジャパン大学代表で4番を務めた大型スラッガーの頓宮裕真選手(ドラフトでは捕手だったが内野手に変更)。中川スカウトグループ長も「2位の頓宮は得点力アップという面で期待できる。打力は凄い。大学ではキャッチャーとファーストしかやってないないが、本人が『サードにチャレンジする』と言っていたし、右の頓宮、左の吉田正尚という感じになってもらいたい」と評価する。

 頓宮は入団会見で「1年目からクリーンナップを打ちたい」と語り会場を沸かせたが、中川スカウトグループ長も「それぐらいはやってもらわないと困る。彼ならやってくれるでしょう」と語り、小谷野栄一、中島宏之といった右の強打者が抜けた穴を埋めるような働きに期待がかかる。


2年連続の95点


 3位以下の選手に関しては即戦力の投手を中心にテーマを持って指名しているのは、ここ数年のドラフトと変わっていない。

「3位の荒西祐大(Honda熊本)と、4位の富山凌雅(トヨタ自動車)は即戦力のピッチャー。球にキレがあるしテクニックもあります。相手に向かっていくタイプ。6位の左澤優(JX-ENEOS)は横浜隼人高で宗佑磨の2学年上の先輩。『左の左澤』と本人が言ってますが、定着するんじゃないですかね。性格的にも明るいしパワフルなピッチングで、凄くタフなので楽しみ」

「5位の宜保翔(KBC学園未来高)はキャッチャー以外ならどこでも守れるユーティリティプレーヤー。これは他の選手にとって(競争力を高める意味で)脅威になるかもしれない。7位の中川圭太(東洋大)はバッティングが持ち味。実戦向きの選手だし、彼は最後のPL戦士であるとか、ドラフトに指名されたタイミングだとか、いろいろと“持っている”ものがあるので、チャンスはあると思う」

 今年のオリックスのドラフトは全体的に“地味”なイメージもあるが、「今年のドラフトは“将来性”を重視したので、そこはブレずに行けた。今年の選手はみんな落ち着いてます。将来性があるショートストップを獲って、ポイントゲッターになれる野手や、即戦力のピッチャーも獲れた。宜保のようなユーティリティもいる。バランスの良いドラフトができた。点数は昨年と同じ95点。残りの5点は彼らの将来性にかかってます」と満足感を示した。

 「将来性」は、西村新監督の下で新たなスタートをきるチームのテーマにもなっている。阪神へFAで移籍した西勇輝の人的補償として、竹安大知を獲得したのも「将来性」を重視したことによるもの。西村監督はロッテ時代から若い選手を積極的に使い続け、実戦で育成いくタイプの監督だ。入団会見でも、「1年目だからといって遠慮はしないでもらいたい」と何度も念を押していた。

 まずは年明けの入寮を経て行われる新人合同自主トレでどこまでアピールできるのか――。投打のベテランが抜けたチームに新たな息吹を吹き込む“新鮮力”に期待したい。


取材・文=どら増田

※訂正
初出時の記事内容に誤りがありました。
新入団のルーキーは育成含み「8名」です。
大変失礼いたしました。
(2018年12月31日14時49分)

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