コラム

大きな注目を集めた“FA補償”の未来

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西武・内海哲也 (C) KYODO NEWS IMAGES

衝撃を与えた“人的補償”


 年が明けて、2019年のプロ野球開幕まで残り2カ月半あまり。このオフの主役といえば、やはり巨人だろう。

 FAでは広島から丸佳浩、西武から炭谷銀仁朗を獲得。さらにメジャーからNPB復帰を画策していた岩隈久志の獲得にも成功すると、オリックスを自由契約となった中島宏之も加入。ケーシー・マギーが去った助っ人陣にも、実績十分のクリスチャン・ビヤヌエバにライアン・クックという2名を加え、久々の“大型補強”に成功した。

 その一方、衝撃を与えたのがFAによる人的補償での退団。これまで巨人を支えてきた内海哲也、長野久義という功労者が相次いで流出となり、巨人ファン以外からも驚きの声が漏れた。

 「人的補償」というと、どちらかというと若手選手を獲得するというイメージが強かったかもしれない。特に広島は赤松真人(←→新井貴浩)、一岡竜司(←→大竹寛)といった実績のない若手有望株を選択して戦力に育て上げてきたという流れがあっただけに、なおさら今回の長野の指名は意外だった。

 ちなみに、今さら言うまでもないことかもしれないが、FA移籍の補償は「金銭補償」と「金銭+人的補償」のどちらかを選択することができる。そんな中、このオフに成立したFA移籍4件のうち、人的補償が発生しなかったのは西武・楽天間の浅村栄斗の移籍だけ。主力級が抜けるとなると、やはりお金を増やすよりも人を獲るという選択が“最善”ということになるのだろうか。


そろそろ“新たな仕掛け”も…?


 海の向こう、メジャーリーグを見てみよう。日本と比べてチーム数も多く、移籍市場も活発なことで有名だが、実はメジャーには「人的補償」という制度がない。

 その代わり、FA移籍の補償となるのが「翌年のドラフトの指名権」だ。過去2年の実績によってFA選手がランク付けされ、そのランクによって移籍先チームの「ドラフト1巡目指名権」、もしくは「1巡目と2巡目の間の指名権(サンドイッチ・ピック)」が補償される。なお、当該選手のランクが低い場合は、これらの補償は行われない。

 日本でも、「金銭補償」「人的補償」のほかに「ドラフト権」が選べる制度があっても面白いのではないか。現行ルールのAランク選手なら『1位指名権』、Bランクなら『2位指名権』といった具合だ。また、ドラフトの指名順に合わせ、FA選手のランクを5段階程度(A~E=ドラフト1位~5位)まで細分化するのも良いだろう。


 また、ほかには「プロテクトリストの自動化」という案も。現在はFA選手の獲得球団が28名のプロテクトを選んで前所属球団にリストを提出するという流れになっているが、例えば「過去3シーズンで野手なら一軍出場が50試合以下、投手は20試合以下の選手は自動的にプロテクト外となる」というようなルールを設ける。すると、今回の内海や長野クラスの流出はなくなるが、二軍で埋もれている若手選手が選択可能になってくる。それにあわせて、彼らを守りたいと思えば一軍での出場を増やさなければならなくなり、若手選手が積極的に一軍で起用されるようになるかもしれない。

 1993年オフに導入されたFA制度も、スタートから25年が経過。これまでも様々なドラマを生んできたが、そろそろ“新たな仕掛け”が加えられても良いのではないか。


文=八木遊(やぎ・ゆう)


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