コラム

立浪二世”根尾昂は本家を超えられるか?

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中日の新人合同自主トレでノックを受ける根尾=ナゴヤ球場

白球つれづれ2019~第3回・黄金ルーキーにかかる期待


 近年は下位に沈み、明るい話題の少なかった中日に活気が戻りつつある。今月15日に発表された本年度の野球殿堂入りに中日OBの権藤博と立浪和義が揃って選出。(他に脇村春夫・元高野連会長)チームは新監督に与田剛とヘッドに前ロッテ監督の伊東勤を招請して新装開店?ファンクラブの会員数も昨年暮れの時点で前年度を超している。この活況の中心にいるのがドラフト1位の黄金ルーキー・根尾昂だ。

 地元・岐阜出身の根尾はドラゴンズにとって喉から手が出るほど欲しかった人材。大阪桐蔭高では1年から甲子園出場を果たし昨年は春夏連覇の偉業も成し遂げた。150キロ超の快速球で投手、幅広い守備と強打で遊撃を守り、時には外野の守備に就く「三刀流」で話題を独占したが、プロ入りと同時に内野一本を宣言、その球歴からもプロとして進む道からも「立浪二世」と期待が集まる。

 そこで根尾と立浪の比較をしてみる。1987年のドラフトで1位指名された立浪はPL学園の主将として春夏連覇、1年先輩には桑田真澄、清原和博がいた。身長は1メートル73センチと当時でも小柄で華奢だったが、野球センスは抜群。その上、日ごろからの練習姿勢もナインから一目置かれるほど。全体練習を終えた夜中に野球部寮の屋上で黙々とバットを振る姿は今でもPLの伝説となっている。

翌88年の開幕から高卒ルーキーとしては異例の先発出場を勝ち取ると110試合に出場して打率は.223ながら22盗塁。堅実な守備で新人王とゴールデングラブ賞を獲得した。その後は「ミスタードラゴンズ」としてチームの中心選手に成長。22年間で2480本の安打を量産して名球会入りを果たした。中でも487本の二塁打は今でも歴代最多である。

 これに対する根尾のプロ入りまでは確かに立浪と酷似している。高校時代の実績は互角、体のサイズも1メートル77センチ、80キロで立浪の時代より全体が大きくなっていることを考えればこれもほぼ同じ。野球に取り組む姿勢も入寮の時に持参したものが野球協約と野球規則、日ごろからテレビはほとんど見ずにスマホゲームにも関心を示さない。趣味の読書以外は野球漬けというのだからストイックさでは立浪以上かもしれない。


松井稼頭央+イチロー!?


 さて、プロ入り以来、輝かしい実績を残した立浪とゼロからの出発の根尾のこの先を占うのは無理がある。そこで根尾の光る素材とあふれる将来性に言及する。すでに新人合同自主トレも後半に差し掛かり2月のキャンプインを前に首脳陣に対してアピールしたいところ。ここでも根尾の評判はすこぶるいい。

 守備練習を視察していた内野守備コーチの奈良原浩が足さばきを見て「体幹がしっかりしている、スピードという点では松井稼頭央(前西武、現同球団二軍監督)のイメージかな」と高評価なら、今季からヘッドに就任した伊東勤に至ってはその強い内転筋に着目して「イチローっぽいね」と発言。「スポーツは外に逃げる力じゃなく、内側の力をどれだけ使えるか、イチローもそうした動きをするよね」と世界の安打製造機まで引き合いに出した。確かに中学時代にはアルペンスキーの全国大会で優勝した実績を誇る下半身の強さとしなやかさは今後の根尾の大きな財産となりそうだ。「松井稼頭央+イチロー」なら立浪超えも不可能ではない。

 すでに自主トレの行われるナゴヤ球場を訪れるファンの数は昨年の4倍増、沖縄キャンプの応援ツァーを企画すれば満席、根尾グッズからナゴヤドームのシーズンシートの売り上げまですべてが記録づくめ、という。次なる注目は根尾のキャンプ、オープン戦の成績と開幕の先発出場がなるか? 最大のライバルとなるのは一昨年の新人王・京田陽太だ。

 31年前、時の中日監督である星野仙一は遊撃を守ってきた宇野勝を二塁にコンバートしてまで立浪に託した。仮に根尾が京田と同等に近い力量を持っていたら? 指揮官の与田もまた星野の教え子である。こんな地元の「福の神」をどう育てていくか? 2カ月後には大きな決断の時がやってくる。


文=荒川和夫(あらかわ・かずお)
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