コラム 2019.02.01. 19:20

DeNA・国吉が豪州で鍛え上げた“心技体”

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オーストラリアでの武者修行を経て飛躍が期待されるDeNA・国吉 [写真=萩原孝弘]

オーストラリアで武者修行


 厳しい寒さが続く1月最後の週末、こんがりと日焼けをし、顎ヒゲを蓄えた196センチの大男は、横浜の街ですれ違う人たちの目を引いた。元々クォーターの端正な顔立ちではあるが、オーストラリアで約3カ月の武者修行を終えた国吉佑樹は、一層精悍さと逞しさが増していた。

 自ら志願して赤道を越え、ベイスターズが戦略的パートナーシップ契約を結んだオーストラリアン・ベースボールリーグの強豪チーム"キャンベラ・キャバルリー”へ。家族を日本に残し、年末年始も帰国はせず、オフを返上して自ら野球漬けの生活を選んだ。

 当然、料理や洗濯、買い物など、野球以外の部分もすべて自分でやらなければいけない。「ナイターが終わって洗濯しないといけないときは、寝るのが2時を過ぎたこともあった」という。また、英語についても「(オージーイングリッシュ)はクセが強いので、最初は全くわからなかった」と苦心。日本の環境は恵まれていることを、嫌を無しに再確認した。


刺激を受け続けた日々


 しかし、ロッカーが隣だったアメリカ人と仲良くなり、オフの日も一緒に行動して買い物やゴルフをするなど、積極的に交流。徐々に英語もわかるようになり、いつの間にかチームにも溶け込むことができた。オーストラリアで起こった様々な出来事を笑顔で振り返るその表情は、充実感に満ちていた。

 異国での生活は彼のマインドに変化を及ぼす。チームメイトたちは「試合でミスをしても引きずらない。すぐに切り替えて考えられる。負けてもバスの中では明日のためにと皆でワイワイやっていた」とカルチャーショックを受けつつ、「反省は大事だが気にしていても取り戻すことは出来ない」と、自らの思考もポジティブになった。

 皆に共通しているのは、野球が好きだということ。楽しいことをやっているのにネガティブなことを考えられない。非常にシンプルながら、新鮮だった。「野球を通じて世界中の仲間と交流できた」と、マインド面での成長も感じ取れた。


精度を高めたピッチング


 オーストラリアリーグには、「WBCのオランダ代表や、カナダ代表、南アフリカ初のメジャーリーガーなどもいた」ようで、「思っていたよりもレベルは高かった」と振り返る。パワーに関しては凄いものがあったと認めた一方で、「変化球を投げていれば抑えられる」ことも実感した。しかし、国吉の目的は“抑えること”ではなく、新たなスタイルを確立すること。

 昨年、開幕一軍のキップを手にした際は「カットボール」を武器にしていた。とはいえ、7割近くをカットで構成するピッチングスタイルは、時間の経過とともに研究され、限界を迎える。最初の頃は内野ゴロに打ち取れていたボールをファウルで粘られ、次第に痛打されるようになっていく。そこで、2年2カ月ぶりの先発登板となった昨年9月のカープ戦では、カットに頼らずストレートやカーブにフォークを織り交ぜたピッチングで好投した。

 その時のピッチングをヒントに、オーストラリアでは課題の改善に取り組み、実戦の場で様々なトライをした。まずはストレートを狙って振ってくる相手に、あえてストレートを投げ込むことで自分の力を試した。その結果、「いい意味で大胆に投げ込むと、そうそう打たれない」ことを学んだ。

 また、「昨年まではアウトコース中心のピッチングで、インコースに投げきれなかった」反省点を踏まえ、「インサイドにボールにするストレートを投げてみたり、両コーナーに投げ分ける」投球の精度を上げた。 「強く、相手を差し込ませるようなボール」でファウルをとり、カウントを有利にする。もちろんカットボールを捨てた訳ではないが、「ストレートの割合を増やす」ため、パワーバッター相手にブラッシュアップした強いボールを軸に投げ込み、投球の幅を拡げた。


10年目の開花は間近?!


 最終的な成績は、15試合(26回2/3)に登板して1勝3敗、防御率4.39だったが、「打たれることを恐れて、日本のオフにやるべきことをおろそかにしない」ことを貫いた末の数字。この数字だけを見ると不安を感じる人がいるかもしれない。しかし。実戦だからこそできることを試したり、ウエイトトレーニングなどのオフのメニューをこなした後の登板ということも加味する必要がある。あくまでも2019年シーズンに向けた武者修行。身体のメンテナンスに重きを置いた結果でもあることは本人も自覚している。

 目標は「1年を通して一軍で活躍すること」。「去年は開幕と最後しか一軍にいられなかった。ロングリリーフもできることをアピールたい」と控え目だったが、その目には自信が漲っていた。春季キャンプは一軍スタート。首脳陣からの期待もうかがえる。

 思えば同期入団の筒香嘉智も2015年のウィンターリーグ(ドミニカ)参戦後、二冠王に輝やくなど飛躍を遂げた。異国の地で“心技体”を鍛え上げた"未完の大器"が、10年目の飛躍を遂げる準備は整っている。


取材・文=萩原孝弘(はぎわら・たかひろ)

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