紅白戦で存在感示した高卒2年目の湯浅大
2月1日、プロ野球12球団が揃って春季キャンプに入った。
初日からロッテが紅白戦を組めば、3日には巨人も一軍vs.二軍のサバイバルマッチを実施。その試合においては坂本勇人や丸佳浩といった主力組は不在だったものの、結果は5-5の引き分で二軍メンバーが首脳陣に猛アピールをした。
なかでも目を引いたのは、高卒2年目の湯浅大である。安打こそ生まれなかったが、遊撃の守備で魅せた。三塁寄りの打球を逆シングルでスライディングキャッチすると、すぐさま起き上がり一塁へ送球。きっちりとアウトに仕留めたプレーは見事だった。
巨人一軍の遊撃手事情を見ると、高卒2年目から頭角を現した坂本勇人が長きに渡り君臨している。今年31歳となる坂本は、いまが野球選手としての円熟期だ。アクシデントさえなければ、今年も正遊撃手として巨人を引っ張っていくことは間違いない。
しかし、遊撃手は内野における要でもある。坂本がケガなどで離脱する可能性を考え、サブメンバーのレベルを上げることはチームとして重要なテーマのひとつとなる。
昨年、坂本は後半戦開幕早々にケガで試合に出られなかった。そこで、それまで二塁を守っていた吉川尚輝が代役を務めることになるも、その吉川もほどなくして骨折で戦列から離れてしまい、山本泰寛や若林晃弘を起用しながら坂本の復帰を待つという事態に陥った。
最終的には3位に滑り込んでクライマックスシリーズの出場権は確保したものの、攻守の要を欠いたことが苦戦の要因となったことは間違いない。
激しさを見せる遊撃手の2番手争い
現時点で坂本にアクシデントがあった場合、その穴を埋める筆頭候補は吉川尚だろう。
吉川は二塁のレギュラー候補だが、大学時代は遊撃を守っていた選手。守備位置に対する不安はそれほどない。ただし、いくら経験があるとはいえ、シーズン中のコンバートとなるとやはり不安が残る。できることならば二塁の吉川はそのままとし、遊撃には別の選手を配置したいところでもある。
そういった場合の候補となってくるのが、上でも少し触れた山本や若林に湯浅、ほかには北村拓己、増田大輝
といったところ。そして、ドラフト2位の増田陸(明秀日立高)らである。各選手とも若く、伸びしろは十分。ひとつでも自分の特徴をアピールし、控え遊撃手争いを勝ち抜きたい。
もちろん、V奪回を目指す巨人にとっては、坂本が元気に全試合出場することが望ましい。しかし、長いシーズンを戦い抜くうえでは、故障離脱だって当然あり得ることと思わなければならない。その戦力ダウンを最小限で食い止めることが、チームマネジメントだ。
また、不測の事態で起用された選手が、そのままレギュラーとして定着するケースもある。まさしく、坂本がそうだった。
2008年の開幕戦で当時のレギュラー遊撃手であった二岡智宏が故障離脱。代わりを務めた坂本がそのまま遊撃に定着し、今では日本を代表する選手にまで成長した。
そんな坂本も、あと10年遊撃手のレギュラーを張れるわけではない。誰かが将来的な遊撃手のレギュラーになるには、まずは坂本の「次の存在」として認められる必要がある。
果たして、坂本のバックアップとなる遊撃手、坂本の次の存在になる遊撃手は誰だろうか……。キャンプ、オープン戦で若手たちの躍動に期待したい。