45歳GM × 38歳監督
昨季は3シーズンぶりの最下位に沈んだ楽天。雪辱に燃える2019年は、FAで西武から浅村栄斗の獲得に成功するなど、積極的な補強で戦力を整えた。一気に優勝候補へ……とはならずとも、ダークホースとして注目を集めている。
大きく生まれ変わろうとしているチーム。その中心にいるのが、昨年9月にゼネラルマネジャー(GM)に就任した石井一久だ。
45歳とまだ若く、指導者としての経験もない石井GM。独特のほんわかとしたキャラクターもあって、球団の要職に就いたことには驚きの声が多数聞かれた。たしかに、指導者としての実績がないなかでのGM抜擢には多少の不安もついてくることだろう。
しかし、現役時代には名将・野村克也監督の下で7シーズンに渡ってプレーをし、日本一も複数回経験。全盛期には海を越えてメジャーリーグに挑戦し、ドジャースとメッツで計4シーズンを過ごして通算39勝を挙げた。帰国後には古巣・ヤクルトで2シーズン過ごした後、西武に移って6シーズンもプレー。日米とセパ両リーグで培った経験と、その人脈はGM職で生かされる可能性が高そうだ。
そして、その石井GMの下で今季から正式にチームの指揮を執ることになったのが平石洋介監督である。
昨年6月、これまでチームを率いていた梨田昌孝監督が成績不振を理由に辞任。その後を受けた平石監督“代行”はどん底にいたチームをなんとか立て直し、就任後は37勝41敗2分と勝率5割に迫る健闘を見せた。
平石監督は2004年のドラフト7位で楽天に入団。現役生活は7年で通算122試合に出場、通算37安打と選手として花を咲かせることはできなかった。それでも、2011年の引退後は育成コーチからスタートして様々なコーチ職を経験。指導者としてステップアップを続け、気が付けば38歳という若さで異例の監督抜擢となった。
現役最年少の監督は経験こそ浅いかもしれないが、年齢が選手と近いこともあって積極的にコミュニケーションが取れるという利点もある。平石監督は特にその姿勢に関する評価が高い。
日本では、プロ野球選手の監督像として現役時代の実績が重視される傾向が未だに根強いが、もし平石監督が成功を収めれば、プロ野球の監督像に対するステレオタイプが大きく変わる可能性も秘めている。
これまでの球界では考えられなかった“45歳GM×38歳監督”というフレッシュコンビ。新生・楽天は球界に革命を起こすことができるだろうか。
文=八木遊(やぎ・ゆう)