助っ人史上4人目の300号へ…
小川淳司監督の再登板となった昨季はリーグ2位に躍進したヤクルト。4年ぶりのリーグ制覇をめざすチームにおいて、山田哲人とともに打線の軸を担うのが来日9年目になるウラディミール・バレンティンだ。
来日した2011年から3年連続で本塁打王に輝くなど、メジャーでは埋もれていた才能を日本で開花させた大砲。3年目の2013年にはNPBのシーズン最多記録を更新する60本塁打をマークして日本プロ野球の歴史にその名を刻んだ。
以降もヤクルトの主砲として君臨し続け、昨季までの通算8シーズンで積み上げた本塁打は255本。年平均すると31.9本という数字になるが、実は2015年は故障の影響で15試合しか出場できておらず、実質7シーズンと言っていいだろう。となると、年平均の本塁打数は36.4本に跳ね上がる。
34歳になったバレンティンだが、昨季も38本塁打を記録しているようにそのパワーに衰えは見られない。通算300号という大台も近づいているが、これは外国人選手に限るとタフィ・ローズ、アレックス・カブレラ、アレックス・ラミレスの3人しか達成していない。いずれも平成の時代を彩ったパワーヒッターたちだ。
助っ人史上初の記録も…
史上4人目の記録までは残り「45」本……。バレンティンのこれまでのペースを考えれば、あと2年プレーすればクリアできる数字だろう。そしてこのバレンティンの凄さを語るうえで欠かせないのが、本塁打のペースを守り続ける“安定感”だ。
2011年から昨季までの8シーズン、バレンティンが記録した年度別の本塁打数が以下の通り。
▼ バレンティン・年度別本塁打数
2011:31本
2012:31本
2013:60本
2014:31本
2015:1本
2016:31本
2017:32本
2018:38本
通算:255本
半分の4シーズンで「31」を記録している点もさることながら、故障でシーズンのほとんどを棒に振った2015年以外はすべての年で30本塁打をクリア。シーズン30発を7度記録した外国人選手というと、バレンティンのほかにタフィ・ローズただ一人だけである。
ローズは助っ人史上最多の通算464本塁打をマークしており、7度の30発超えは実はすべて40本以上という驚異的なもの。しかし、もし今季バレンティンがシーズン30本塁打以上を記録すれば、そのローズでも達成できなかった“通算8回目のシーズン30発”ということになり、助っ人史上初の偉業となる。
来日8年目の昨季に来日最多の142試合の出場を果たしているように、驚異のパワーを秘める肉体はまだまだ元気いっぱい。今年も30発と言わず、今季中の300号到達があっても何ら不思議ではない。
ヤクルトを支え続けるバレンティンから、今年も目が離せない。
文=八木遊(やぎ・ゆう)