来日10年目を迎えた虎のエース
17年ぶりの最下位に沈んだ2018年シーズンの悔しさを糧に、リベンジに燃えている今季の阪神。FA戦線で西勇輝を獲得したほか、中日で13勝を挙げたオネルキ・ガルシアの獲得にも成功するなど、先発陣の大幅な強化が見込まれるが、その中でも浮沈のカギを握るひとりとして挙げられるのは、今季で来日10年目を迎えるランディ・メッセンジャーだろう。
2010年に来日した右腕。当初は中継ぎ投手として起用されるケースが多かったが、シーズン途中から先発ローテーション入りを果たすと、150キロを超える速球を武器に勝ち星を量産。昨季までの9年間で2ケタ勝利を7度も記録し、奪三振王のタイトルも2度獲得。昨季までは4年連続で開幕投手を務めるなど、押しも押されぬエースとしてチームを支えてきた。
そんなメッセンジャーは、昨年4月に国内FA権の資格を取得。今季から外国人選手枠を外れることになった。日本人選手と同じ扱いになったことで、今季の阪神は4つの外国人枠をより有効に使うことができる。だが、少し気になるのはそのメッセンジャーの成績。昨季まで3年連続で2ケタ勝利を挙げるなど安定感は抜群だが、今年8月で38歳となることもあり、やはり全盛期と比べると球威の低下は否めない。
仮にメッセンジャーが不振に陥るようなことがあれば、チームの成績にも大きく関係してくる。そこで今回は過去に日本でFA権を取得した外国人選手に注目。外国人枠を外れた選手たちがどんな成績を残していたか振り返ってみたい。
大崩れせずに活躍する野手陣
調べてみたところ、今回のメッセンジャーのように国内FA権を取得して外国人選手枠を外れた助っ人は計8名いた。まずは野手たちから見ていく。(※球団は在籍当時のもの)
▼ タフィ・ローズ(巨人/04年オフ権利取得)
[2005年] 101試 率.240 本27 点70 ※開幕時36歳
[前年成績] 134試 率.287 本45 点99
▼ アレックス・ラミレス(巨人/08年オフ権利取得)
[2009年] 144試 率.322 本31 点103 ※開幕時34歳
[前年成績] 144試 率.319 本45 点125
▼ アレックス・カブレラ(オリックス/09年オフ権利取得)
[2010年] 112試 率.331 本24 点82 ※開幕時38歳
[前年成績] 65試 率.314 本13 点39
▼ ホセ・フェルナンデス(西武/11年オフ権利取得)
[2012年] 129試 率.243 本3 点51 ※開幕時37歳
[前年成績] 142試 率.259 本17 点81
ローズやカブレラなどの全盛期を過ぎた選手もいるが、出場試合数で見ると全員100試合以上に出場。一定の成績を残しているのがわかる。なかでも特筆すべきは、2008年オフに外国人枠を外れたラミレスだ。
ラミレスは2001年に来日して以来、それまでに本塁打王1回、打点王3回という実績を残していたが、外国人枠を外れた初年度に自身初となる首位打者を獲得。巨人の日本一に貢献すると、翌年には本塁打王と打点王の2冠王に輝くなど、その打棒に衰えはなかった。
投手は4人中3人がシーズン後に現役引退
続いて、投手たちの成績を見ていく。
▼ 郭 泰源(西武/96年オフ権利取得)
[1997年] 1試 0勝0敗 防0.00 ※開幕時35歳
[前年成績] 14試 0勝6敗 防7.39
▼ ブライアン・シコースキー(西武/10年オフ権利取得)
[2011年] 4試 0勝1敗2ホールド 防4.91 ※開幕時36歳
[前年成績] 58試 2勝5敗33セーブ・5ホールド 防2.57
▼ 許 銘傑(西武/11年権利取得)
[2012年] 37試 0勝3敗1セーブ・10ホールド 防5.29 ※開幕時35歳
[前年成績] 49試 6勝2敗1セーブ・22ホールド 防1.98
▼ ジェイソン・スタンリッジ(ロッテ/17年権利取得)
[2018年] 一軍登板なし ※開幕時39歳
[前年成績] 14試 4勝6敗 防4.72
野手に比べると、投手陣は軒並み成績が低下。それなりにシーズンを通して戦力になったのは許銘傑だけで、それ以外の3選手は日本人扱いになったシーズン限りでチームを去っている。
メッセンジャーはこの悪い流れを断ち切り、今季も好成績を残すことができるだろうか。
文=福嶌弘(ふくしま・ひろし)