レジェンドは21打席快音なし
3月17日、米マリナーズのイチローがアスレチックスとの開幕2連戦を前に、巨人との親善試合に凱旋出場を果たした。「9番・右翼」で先発出場したイチローだったが、3打数無安打に終わり、残念ながら日本のファンの前でそのバットから快音を響かせることはできなかった。
これで実戦21打席連続無安打。打率は.071とらしくない数字となっている。45歳になって新たなシーズンを迎えるイチロー。もともとスロースターターであり、シーズンも開幕前とはいえ、今季は過去にない厳しい滑り出しといえる。
なにより、9三振という三振の多さが気になるところ。「打撃は目から衰える」といわれることもあるだけに、イチローを心配する声が上がるのも当然である。とはいえ、これまで数々の金字塔を打ち立ててファンを魅了し続けてきたイチローには、「今季もなにかやってくれるにちがいない」という期待も抱いてしまうものだ。
そして、ファンをそんな気持ちにさせるベテランはイチローだけではない。日本球界にも、大ベテランとして今季に臨む選手たちがいる。以下は、40歳以上で今季開幕を迎える選手と、そのオープン戦成績だ。
【40歳以上で今季を迎える選手のオープン戦成績】
※年齢は開幕時
▼ 上原浩治(巨人/43歳)
オープン戦出場なし
▼ 福浦和也(ロッテ/43歳)
オープン戦出場なし
▼ 福留孝介(阪神/41歳)
7試 率.400(15-6)本2 点4
▼ 山井大介(中日/40歳)
3試(8回)振8 防7.88
▼ 阿部慎之助(巨人/40歳)
4試 率.167(6-1)本1 点2
怪我にも負けず、若手にも負けず
日本球界最年長の上原浩治(巨人)はここまでオープン戦の登板はない。ただ、ファームでは、3月17日の日本ハム戦で1回を無安打無失点に抑えて1三振を奪うなど順調な仕上がりを見せているようだ。長いシーズンの間には、上原の力が必要とされるときが必ずくる。
野手で「さすが」という成績を残しているのが福留孝介(阪神)。若手のテストという側面も強いオープン戦だけに、7試合の出場にとどまるが、.400という打率を残し、2本塁打を記録している。若い大山悠輔を主砲に育てるには、今季も頼れるベテラン・福留のバックアップが欠かせない。
阿部慎之助(巨人)は、左ふくらはぎの張りで3月12日に一軍から離脱してしまった。今季はルーキーイヤーから19年連続2桁本塁打という偉業に挑む阿部。炭谷銀仁朗が加わり、捕手のポジション争いは激化しているが、モチベーションはまだまだ衰えていないはずだ。
また、彼らの他に、能見篤史(阪神)、五十嵐亮太(ヤクルト)、石原慶幸(広島)の3人が今季中に40歳の大台を迎える。
野球に限らず、プロスポーツでは「引き際が肝心」ともいわれる。しかし、成績では全盛期とは程遠くなろうとも、ギリギリまで現役にこだわる姿や、あるいはベテランならではのいぶし銀のプレーにもファンは心打たれるもの。ベテランたちの奮闘に期待したい。
※数字は2019年3月17日終了時点
文=清家茂樹(せいけ・しげき)