アスレチックスの守護神・トレイネン [Getty images]

◆ 初めて「前年勝ち越しチーム」が激突

 3月20日(水)、シアトル・マリナーズとオークランド・アスレチックスの両者が2019年シーズンの開幕を迎える。会場は東京ドーム。日本でメジャーリーグの公式戦が開催されるのは、2012年以来で実に7年ぶりのことだ。

 同地区のライバルである両チームは、昨季ともにシーズン終盤までアストロズと優勝争いを展開。三つ巴の末、地区優勝はアストロズに譲ったものの、アスレチックスはワイルドカードでポストシーズンに進出。マリナーズも前年の78勝から89勝と躍進した。

 ちなみに、過去に日本でメジャーリーグの開幕シリーズは4度行われているが、前年に勝ち越したチーム同士の対戦というのは今回が初めて。これまで以上の熱い戦いが見られる可能性が高そうだ。

◆ オフの動きは対照的

 ともに昨季は充実したシーズンを送ったが、ストーブリーグの動きは対照的だった。

 マリナーズはスーパースターのロビンソン・カノを筆頭に、ジーン・セグラやエドウィン・ディアスといったオールスター級の選手を次々とトレードで放出。昨季37本塁打のネルソン・クルーズもFAでチームを去った。その一方で、新たに加わったのが昨季9本塁打のジェイ・ブルースなど、戦力低下は免れそうにない。開幕スタメンが予想される野手の半数は移籍組になる予定だ。

 そのマリナーズから注目選手を一人挙げるならば、開幕第1戦に先発が予定されている投手のマルコ・ゴンザレスを推したい。

 昨季13勝を挙げてブレークした27歳の遅咲き左腕。もともとドラフト1巡目(全体19位)で指名された逸材だったが、ケガに苦しめられて出世が遅れていた。それでも、2017年途中にカージナルスからマリナーズに移ると才能が開花。今季はエースとして昨季以上の数字が期待されている。持ち味は抜群の制球力で、昨季の与四球率は1.73。これは規定に到達した両リーグの57投手中5位の数字である。大学時代には二刀流としても注目を集めた男が、開幕戦でアスレチックス打線に立ち向かう。

 対するアスレチックス打線は、昨季メジャー3位の227本塁打を記録するなど、その破壊力は屈指のものを誇る。昨季23本塁打を放った二塁手のジェド・ローリーがFAでメッツに移籍したが、後釜としてレンジャーズからトレードでジュリクソン・プロファーを獲得。2人のOPSを比べても、ローリーの.801に対して、プロファーが.793とさほど変わらない。走塁・守備の面でもアップグレードと言え、年齢的にもうまく若返りに成功した(ローリー34歳→プロファー26歳)。ローリー以外の主力級はほぼチームに残り、今季も優勝争いに期待がかかる。

 そのアスレチックスの注目選手としては、不動の守護神ブレーク・トレイネンの名前を挙げたい。

 昨季は68試合に登板して9勝2敗38セーブ、防御率は驚愕の0.78をマークした。特にマリナーズ相手には通算14試合・15回1/3を投げて失点1(自責点0)とめっぽう強い。アスレチックスが試合終盤にリードする展開になれば、トレイネンが圧巻の投球を披露してくれるだろう。

 前述した通り日本でのメジャーリーグ開幕シリーズはこれまで4度開催されているが、実はそのすべてが1勝1敗の痛み分けで終わっている。果たして、今回はどちらかの2連勝はあるのだろうか……。両チームともに、異国の地で連敗スタートだけは避けたいのが本音だろう。

 イチロー、そして菊池雄星の“凱旋試合”として注目度も高まっているが、滅多に見られない“メジャーリーガー”たちのプレーもしっかりと目に焼き付けたい。

文=八木遊(やぎ・ゆう)

【八木遊・プロフィール】
1976年、和歌山県出身。大学卒業後、某スポーツデータ会社に就職。プロ野球、MLB、NFLの業務などに携わる。野茂英雄と同じ1995年に渡米。ヤンキース全盛期をアメリカで過ごした。日本にファンタジーベースボールを流行らせたいという構想を持ち続けている。

この記事を書いたのは

八木遊

1976年、和歌山県で生まれる。地元の高校を卒業後、野茂英雄と同じ1995年に渡米。ヤンキース全盛期をアメリカで過ごした。米国で大学を卒業後、某スポーツデータ会社に就職。プロ野球、MLB、NFLの業務などに携わる。

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